琴橋

貸し椀伝説も残る淵は戦国時代の要衝。

(群馬県長野原町長野原)

さて、私が水車を見ているあいだにもサークルの一行は長野原駅(正確には、長野原草津口駅だ)へ向かっていた。私は先回りして長野原駅の駐車場に車を停め一行と合流。サークルの予定ではこのあと、酒造メーカーが経営するドライブインで昼食をとることになっている。(どうも、無料で利き酒ができるというのがそこで昼食をとる理由らしい‥‥。)

さて、ドライブインは駅から見ると川の対岸にあり、そこへ行くには須川橋と琴橋という2つの橋を渡らなければならない。その場所は吾妻川と白砂川という川が合流する地点で、川幅は狭く切り立った渓谷になっている。ここには古くから2つの橋が架かっていて、合戦の時には橋を落としたという伝説もある。

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須川橋は国道が通るコンクリートの橋だが、琴橋のほうは今も歩行者専用の木橋だ。(左写真)

この橋の下は淵があって、かつて龍が住んでいたともいい、貸し椀伝説が伝わっている。

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むかし、祝い事などのとき使う膳や椀は高価で、貧しい家ではとてもそろえることはできなかった。そんなとき淵の主が膳や椀を貸してくれたのだそうだ。祝い事があるとき、淵に願を掛けると、不思議なことに次の日には淵のほとりに立派な椀が置かれていたという。使い終わって椀を返すと、次の日には無くなっているのだという。ところがあるとき欲深な村人がいてこっそり一組の椀を返さなかったら、それ以後二度と椀を貸してくれることはなくなったという。

‥‥と、いうのが一般的な貸し椀伝説だ。椀を貸してくれるのは竜宮というパターンが多いがここでは龍が椀を貸してくれることになっている。上の写真はその淵を橋の上からのぞいたところ。手すりも低くて、乗り出して写真を撮るのはかなり怖かった。

このあと遅い昼食をとり、サークルの人々は長野原駅から帰路についたのだった。

(2001年04月01日訪問)