赤岩の三階民家

崖屋の巨大三階養蚕農家。

(群馬県中之条町赤岩)

長野原町から六合村(くにむら)に入ってすぐのところに、巨大な三階民家がある。この家は国道のカーブの突き当たりにあるので、それほど注意深く捜さなくても目に入ってくるだろう。私はこの道を通るたびにはっとしてしまうのだ。

写真

近くまで行ってよく見れば2階から出入りする崖屋だ。厳密には地上2階、地下1階ということか。(写真の写し方が悪くて地下1階の部分が見えにくいが。)

でもまあ3階であることには間違いない。今度来るときにまだ残っているかどうかわからないので、車を停めて遠景を撮っておく。

六合村というところは極端に古いものはないのだが、近世の古いものがよく残っているところで古い民家も多い。しかし、温泉旅館をのぞけば3階民家はあまり見られない。村内の全ての沢という沢、小字という小字をチェックしたわけではないが、たぶんないだろう。(群馬県で3階以上の崖屋を見たければ南牧村の奥地へ行くのが良い。)

ところで群馬県における多層階の巨大民家はもとは養蚕のために生まれたのであるが、養蚕がすたれた後は3階や2階が居住スペースとなり、そこには隠居した老人や子供夫婦が住んだり、市街地ではアパートのように間貸ししたりするようになる。こうなるとそれはまるで飛騨の白川郷の合掌造のような多世帯同居型の巨大建築と言えるのだ。群馬県の養蚕農家の二階を評価するときには、養蚕のためのスペースとして片づけてしまわず、その後の空間の利用も含めて捉えなければならないように思うがいかがだろうか。

(2001年04月01日訪問)