大久野島・毒ガス工場跡

巨大な毒ガス貯蔵施設の跡はまるで神殿のようだった。

(広島県竹原市忠海町)

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大久野島のハイライト・毒ガス貯蔵施設跡は島の北端部にある。

その付近は、テニスコートや海水浴場になっている。日本近代史最大の忌むべき遺産のすぐ脇でレジャーを楽しむ光景はどうしても違和感をぬぐえない。

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毒ガス貯蔵庫は、ほぼ海岸に面している。

半地下式で、左右に3部屋づつ、合計6部屋ある。

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中央部にはもともとは屋根があったようだが、いまは抜け落ちている。

巨大な側壁はまるでギリシャ神殿のような印象。

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貯蔵タンクを据え付けた台座。

後ろの壁が煤けているのは、占領軍が毒ガスの中和のために火炎放射器で焼いた跡だ。

焼却できない有毒物質は、高知県沖の海底に投棄されたという。

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小部屋には千羽鶴が奉納されていた。

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屋根や室内に茂っている樹は時の流れを物語るとともに、廃虚の美しさを際立たせている。ここを保存整備するときでも、樹は伐採しないほうがいいと思う。

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内部から海岸を見たところ。

(2002年08月27日訪問)