福成寺

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(広島県東広島市西条町下三永)

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少し寄り道があったが、次の目的地福成寺へ向かう。この寺にも、屋根付き橋があるはずなのだ。

だが、寺へのアプローチは竹林寺と同じように「こんな場所に名刹があるの?」と心配になるよな風景。山麓はゴルフ場になっていて、山へ登る道はなんとゴルフコース内を通過していく。古刹へ向かう道というよりも、丘陵を開発したニュータウンへの取り付け道路みたいな雰囲気だ。

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それでも、途中に仁王門があれば、寺はかなり大きいことがわかる。

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ただし、中の仁王はこんなだ。

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最近の少年漫画でこういうデッサンをよく見る気がする。

そこそこの画力があるのに、わざと嫌悪感を与えるようなアクの強い主人公を描いて、講談社あたりでデビューする、あざとい漫画家が描きそうな体つきだ。

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仁王門から少し進むと境内に着く。

屋根付き橋としては初めて紹介するRC造の構造物だ。この橋は、木造橋だったのをRC造に掛け替えたものではなく、最初からRC造で作られた橋ではないか。

というのも、橋のかかっている池が農業用の溜め池のような池で、昔からあったようにはみえないのだ。

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それとも、小さな池だったのを改造して溜め池にしたのか。いずれにしてもあまり趣のない池だった。

橋は柱がRC造、桁から上の屋根は木造の混構造。

橋は途中から右側に分岐している。途中から分岐した屋根付き橋なんてめったに見られないはずなのだが、どうにも心が躍らない。

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分岐先には小島があり弁天社が祀られている。

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本堂。

境内の建物はすべて赤瓦で葺かれている。それは、東広島で見た寺の特徴である。

もう一つ気になるのは、本堂の3面が縁になっていて軒柱で屋根を支える構造になっているという点である。ここまでに見た、西楽寺国分寺はいずれもこの構造だった。赤瓦と軒柱という組み合わせが東広島の特徴なのだろうか。

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本堂の左側には大師堂。

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大師堂の左側には、九品仏堂。

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九品仏堂の内部には、阿弥陀如来が祀られている。

藤原時代の仏像だという。

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九品仏堂のさらに左側には六角堂。

宝物殿かもしれない。

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そこから少し山を登ったところに鐘堂があった。

天竺様の意匠がめずらしい。

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鐘堂の横にあった堂。

茶堂だろうか。

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本堂の右奥には六所権現(白い鳥居の先)と、小さな鎮守社(赤い鳥居)がある。

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六所権現は石段の先に見えていたのだが、行かなかった。

少し疲れが出てきたというのもあるのだが、RC造の橋や溜め池のような池の様子に腰がくだけて、集中力が切れてしまったようだ。

屋根付き橋を見るのが今回の旅のテーマの一つだったのだから、こんなことではいけないのだが。

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本堂の右側には庫裏と東司。

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他に本堂の正面、つまり、本堂から見て橋の反対側に虚空蔵堂という堂があるようだったが、階段を駆け上がるパワーが出なかった。

(2002年08月28日訪問)