北向観音

北向きの崖の途中に投入堂風の奥の院がある。

(群馬県富岡市大島)

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富岡市大島の北向観音。近くまできたので久しぶりに立ち寄った。

富岡市に住んでいる人は別として、他の市町村に住んでいてこのお寺に行ったことがある人は、それなりのお寺マニアだろうと思う。本やネットではあまり紹介されていない寺だし、街道からはだいぶ離れていているから、道を走っていて気付くこともない。寺の入口は畑の中の道の行き止まりの場所(左写真)でわかりにくい。

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畑の中に車を停めて、寺への石段を上る。途中はスロープになっている箇所がある。私が初めてここに来たのは真冬だったため、急なスロープが凍結していて、参詣するのにえらい苦労をしたのを思い出す。

参詣路は一方通行になっている巡礼空間スタイルで、中央に手すりがあり通路を左右に分けている。しかし、だいぶ荒れてきており、草があるからといって反対側の通路を進んでいると正しい順路に進めないトラップがあったりするので油断できない。

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本堂エリアに到着。

本堂は北関東らしい極彩の堂だ。

この本堂は東を向いている。北向観音というのは、この堂のことではないのだろう。

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海老虹梁が竜の透かし彫りになっている。けばけばしいなあ…。

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横から本堂を見たところ。2間四方の堂で向拝が短い。

2間の堂に二手先の組み物をつけたせいで、軒が高くなってしまったのだろう。全体のバランスは残念な感じ。

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本堂へ行くとき左回りの参道を進んだ場合は、帰路は必ず右回りの順路に進もう。

途中に奥の院へいく順路がある。

ここからがこの北向観音の最大の見せ場なのだ。ここを見落とさないように注意!

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奥の院への道は、崖の途中を掘って作られている。

途中には小さな鎮守社が崖に掘り込まれている。

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奥の院への道。

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奥の院へ到着。

ここは北向きの崖なので、奥の院は北向きに建てられていることになる。これが北向観音のゆえんなのかもしれない。

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奥の院の前には雑木が生えていて、荒れている印象だ。こうした樹は切ってしまったらいいと思う。最近、寺の奥の院などで元々眺望があった場所で、周囲の樹の手入れをしていなくて眺望が失われている場所をときどき目にする。

里山の自然は人間が管理することによって成り立つ自然だ。切るべきものは切るという判断ができなくなってきているのではないか。

(2008年07月12日訪問)