ヤテピャン洞窟寺

通り抜けできる鍾乳洞がある。その先は広大な湿地帯。

(ミャンマーカレン州パアン)

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コーゴン洞窟寺の北西1.5kmほどのところに、もうひとつの洞窟寺、ヤテピャン洞窟寺がある。だいたいこの2つの寺はペアで観光するようだ。

写真奥に見える山を目指して車で移動。

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カレン州での住宅街のあり方は、ひとつは街道に沿った宿場町的な町並みがあり、もうひとつは森の中に家が点々とあるような農村の町並みがある。

ヤテピャン洞窟へ向かう途中、森の中にある集落を通った。こうした集落の道はほとんどが未舗装。道を見る限り、森の中のように見えるが、木々の間から家がチラチラと見える。これは日本で言えば、武蔵野の屋敷森の農村のような集落なのである。

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こんな感じの道を進んでく。

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農村の中のある家。

高床式で、家の上り口はハシゴになっている。

このハシゴはオオカミ(野犬?)よけになっているそうだ。

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アリ塚状の謎の白い物体を見かけた。

セルフビルドのパゴダであろうか。

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お寺に到着。

寺の手前には池があり、橋が架かっていた。

車で通過するのはギリギリの幅。3ナンバーだと通れないかもしれない。

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池は人工の貯水池だと思われるが、周囲の切り立った岩山が映る姿はなかなか美しい。

池の先にパゴダがあるが、このようなパゴダはそこまで歩いていって参詣するというものではなく、あくまでも遠くから眺めるための点景として作られるのだろう。これは巨大な庭園なのだ。

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境内に入ると、サルがお出迎え。

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お寺の仲見世。

飲み物と駄菓子を売っていた。

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そこで購入したふ菓子。

金魚の絵が描いてあるが、魚の餌というわけではなく、砂糖がまぶしてあり、人間が食べてもけっこう美味しい。むかしケロッグ社にフルーツポンというシリアル商品があったが味付けが似ている。歳がばれるな。いまだとフルーツループか。

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サルが物欲しそうに集まってくる。

ふ菓子を投げてやると拾って食べるが、すごく飢えているというふうでもなく、「くれるなら食べるよ」というくらい。

ふ菓子に食べ飽きているのか。

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これが洞窟寺の外観。ワクワクするなぁ。

斜面中腹の左端のところに瞑想所のようなものがある。日本の仏教でいうと禅堂か。

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ハクション大魔王でも飛び出てきそうなパゴダ。

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この寺では、階段の上り口から裸足になる。

上り口には下駄箱が用意されていた。

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托鉢する仏陀の行列。

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その手前で五体投地する僧の像。

なにか説話の場面を再現しているものなんだろうけれど、ミャンマーになれていないと奇妙なものにしか見えない。

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階段を上りきったところ、鍾乳洞の入口付近。

一番奥の暗くて見えないところに仏陀がいて、ひな壇状に過去仏が並んでいる。曼茶羅が立体的になり、しかも洞窟の中に築造されているという夢のような空間だ。

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観光案内板によれば、巡礼者によって奉納されている仏龕は17世紀ごろ、仏像のうち最も古いものは13世紀ごろのものだそうだ。モン族が信仰していた仏教がバガンに伝わったのは11世紀なのでそれよりは下った時代の遺跡ということだ。

出土品だろうか、ガラスケースに収められた仏像の一部と思われるものが展示されていた。

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一番高いところには金色のパゴダがあった。

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このパゴダの上には大きな支洞がある。

奥が続いてそう。

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鍾乳洞を入ってすぐ右側に支洞のような分岐がある。

案内人の一人がこの奥に進んで入ったので私もついて入ろうとしたのだが、ほかのメンバーが「このルートは女人禁制だからヤメヨウヨ」というようなことを言って、結局引き返すことになった。このとき同行していたメンバーには女性が多かったのだ。

この支洞がどのくらい深いのか、奥に何があったのかは謎である。

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鍾乳洞全体は女人禁制ということはなく、メインルートを進む一同。

洞内には電灯がついているので、基本的には懐中電灯は不要だが、足下を照らすのにあったほうがいいだろう。

なにしろ洞内はでこぼこしていたり、小石がぱらついていたりするので、ルート取りを誤ると足の裏が痛いのだ。

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鍾乳石はかなり立派。観光洞として見ても、十分に成立しそうな内容だ。

天井にはコウモリの群れがぶらさがっている。

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大きな石筍。

メインルートから、簡単に迷い込んでしまうような支洞はなかった。(と思う。)

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後半はひたすら登りになる。

石段がない場所もあり、鍾乳石の上を裸足で登らなければならない。滑るということはないのだが、とにかく足の裏が痛い。

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けっこう高さがある。

日本だったら、この石段に手すりナシなんてあり得ないだろう。

こういう無茶な感じの空間、好きだなぁ。映画『ロード・オブ・リング』に出てくるドワーフの国のCGを思わせる。

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出口が見えてきた。

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あたりはまるで生クリームを塗りたくった出来の悪いケーキみたい。

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出口は崖の途中に大きく口を開けていた。

見上げると植物の根が垂れ下がっている。

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どうやら山の反対側に出てきてしまったようだ。

つまり鍾乳洞の入口は山の東側斜面にあり、今立っている場所は山の西側の崖の途中なのだ。

鍾乳洞のメインルートの全長は 300mくらいだろうか。

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出口から見えた風景は湿田と湿地帯だった。

見える範囲だけで100ヘクタール近くはあるのではないだろうか。

私はこういう、洞窟を抜けてしか行けない場所というのがかなり好きで、ときどき夢に出てくることもある。

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帰路は同じ洞窟を戻る。

足の裏が痛いなあ。

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この日の寺巡りはこれでおしまい。

パアン市へ戻る途中のサルウィン・パアン橋の上からの夕景。中央にコーゴン山が見える。その左に小さな山が2つ見えるが、あそこにも寺があるのだろうか。

ちなみに、ミャンマーでは軍関係の施設にカメラを向けるのは禁止されている。橋も本当は写真を撮ってはいけない。

(2014年01月23日訪問)