熊野神社

わずかな土盛りの上に建つ神社。

(群馬県前橋市公田町)

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公田(くでん)町にある神社、熊野神社。

公田町の界隈は、台地の上に広がる真っ平らで広大な水田地帯だ。それに近年の土地改良が加わって高低差はほとんどないのだが、神社の境内などにはわずかに土盛りが見られる。

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この神社の社殿も土盛りの上に建てられている。もしかしたら古墳かもしれない。

拝殿は本殿と一体化した凸型平面の入母屋造り。

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本殿の後ろには石積みがあり、石祠などが並んでいた。

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馬頭観音か。

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さて、この熊野神社で気になるのは、付近にある壕(ほり)である。

水田に水を引く用水とはちょっと違う風情の壕なのである。屋敷の敷地の境界を囲むように続いている。これは熊野神社南の人家の角。

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前橋市の南部の公田町、亀里町、鶴光路町から玉村町、高崎市東部のあたりには、環濠屋敷というものが存在したとされる。分かりやすく言えば、壕を巡らせた民家だ。

いまもこの地域の地図を大きな縮尺で見ると、なにやら怪しげな壕をいくつか見つけることができる。この熊野神社周辺の壕も怪しい地形のひとつだと思っている。

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道路の拡幅などいまは側溝ほどの広さしかないが、以前はもっと大きな壕だったかもしれない。

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これは熊野神社北側の人家の壕。

ここも水路というよりも壕と認知できそうな遺構だ。

案外、熊野神社の土盛りは、こうした濠を作ったときの残土なのかもしれない。

(2014年05月03日訪問)