シュエインミョウパゴダ

パアンの町の発祥の地に建つパゴダ。

(ミャンマーカレン州パアン)

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パアン半日観光の最後に立寄った寺、シュエインミョウパゴダ。この日は結局最後まで雨が降ったりやんだりだった。足下はいつも濡れていてサンダルは乾く間もない。雨季の観光はこんな感じなのだろう。

この寺はパアン市の中央マーケットの西のはずれ、サルウィン川のほとりにある。寺のすぐ横は河港になっていて、パアン市の玄関口でもある。この場所が、パアン市の発祥の地なのだという。

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時刻はもう夕方の6時ごろであたりは薄暗くなってきているが、ミャンマーではこのくらいの時間帯に寺に行くのはまったく問題ない。

今回は寺の入口の石段の最下段でサンダルを脱いで上がる。階段はモルタルではなく、磁器のタイル張りである。タイル張りのところではサンダルを脱げばよいのか・・・。

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境内は全体的にモルタルか白いタイル張りになっていて、どこを歩いても極端に足が汚れることはない。

広場の真ん中に、タイルの色が赤くなっている場所があるが、ここはレスリングのリングなのだという。お祭りのときなどに、格闘技が奉納されるのだろう。

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パゴダは下部が建物になっていて、室内があるタイプ。

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モザイクミラーが細かく張られていて、見つめているとちょっと意識が遠のいてきそう。

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本尊は東向きだった。本尊のある部屋はステンレスのパネルで覆われていて、パゴダには似合わないようなモダンさ。

王座のような形状の光背には豆電球がともされている。ミャンマーでは仏さまに惜しげもなくハイテクが施される。それが良いことだと考えられているのだ。

壁面にコンピュータグラフィックを投射する「プロジェクションマッピング」が登場するのもそう遠くないのではないか。

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本堂の横には有料トイレがあった。

料金は100チャット(約8円)。う~ん、安くてうれしいけど100チャット札なんて持ち合わせていないことが多いから逆に困る。

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本堂の裏側へ回り込むと、仲見世がある。

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ここの仲見世の特徴は、鏡台などの小さな家具のオモチャが売っていることだ。

おままごとの道具だろう。

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もしかしたら、パアンにこうした土産物を作る工房があるのかもしれない。

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謄写版で刷ったと思われる本を売る少年。何の本かはわからないが、アイドルっぽい写真が表紙に使われているので歌詞集か短編小説みたいなものではないかと思う。

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スタンプ・タトゥ屋さん。ここも少年が店番をしている。

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お客さんが来た。

少年が真剣な表情でスタンプをおす。

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「どう?」

「うん、いいね」

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仲見世の横には尖塔。パゴダには必ずといっていいほど、対になる尖塔がある。これまで、何人かのミャンマー人に「これは何なの?」と質問してきたが、はっきりとした回答はいまだに得られていない。名前はチューグルンと呼ぶらしい。

ここまでの想像だが、世界史の教科書に出てくるアショーカ王の石柱を起源とするものではないかという気がする。仏塔と石柱がペアになった遺跡がインドに存在している。だとすれば尖塔というより、石柱と呼ぶべきかもしれない。

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鐘つき柱は二人の男が支えるようなデザインになっている。もちろん、自由に撞いていい。

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寺のいちばん奥まったところは川に突き出した小さなパゴダで、その前にはカエルとヘビの戦いのジオラマがある。

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いわれを知らないと奇妙な像にしか見えないが、これはパアンに伝わる民話を描いたものだ。

むかしパアケッ山のカエルが魔法の玉を持っていた。その玉を持つものは不思議な力を得られるのである。それを知った天界の神タジャーミンは玉が欲しくなり、ヘビに変身してカエルから取り上げようと考えた。

カエルはタジャーミンから逃げるために、5 km ほども離れているパアプゥ山へひと飛びにジャンプして隠れた。このようなジャンプができるのも玉の力のおかげである。

しかし結局タジャーミンはカエルを見つけ出してしまった。カエルは観念して、玉を吐き出してタジャーミンに与えた。玉を吐き出したのはこのパゴダの場所なのだという。

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カエルがもともと棲んでいた山は「パアケッ山(=カエルが張り付いた山)」、ジャンプした先の山は「パアプゥ山(=カエルが身を隠した山)」、玉を吐き出した場所が「パアン(=カエルが玉を吐き出した土地)」と呼ばれるようになった。「パ」はカエル、「アン」は吐き出すという意味がある。

これが「パアン市」の由来の物語である。

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川に付き出したパゴダは、サルウィン川のビューポイントにもなっている。

ここからのんびりサルウィン川を上り下りする舟を眺めるのが、この寺の楽しみのひとつといえる。

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川の対岸に見える小さな山が、伝説に登場するパアプゥ山である。

今回の滞在では、渡し舟であそこへ行くつもりだ。

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菩提樹の周りには八曜日の守り本尊。

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ロウソクを奉納していたのがきれいだった。

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雨で足下が悪いときは、こんなふうに合掌すればいいのか。

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小さなお堂があった。こういう動物園の檻みたいななかに神様が入れてあるのが、このあたりの仏堂では基本的なパターンである。

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ハンサーに乗った女神、トゥヤッタティ。どうも、これは観音さまに相当するらしく、勉強の神様だという。

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このおじさんは、ポッポジィといって、高い場所にお寺を建てるときに土地を守ってくれる神様とのこと。「地神」とでも言っておこう。

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このお寺は私たちが入った入口とは別に、東向きにちゃんとした山門がある。この山門はマーケットのほうへと向いている。

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山門の両脇には眷族のライオン。

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そして、そのライオンの横にはちょこんとカエルが座っていた。

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この山門の前の通りには外国人が宿泊できるゲストハウスなどもある。

(2014年07月11日訪問)