アウンドゥムゥパゴダ

門前の聖人紹介所が充実。

(ミャンマーカレン州パアン)

パアンからタトンまでの50kmの道のりのほぼ中間点には、以前に紹介した温泉寺バーインニィ洞窟寺がある。そのバーインニィ洞窟寺までの半分くらいの位置にあるのが、このアウンドゥムゥパゴダである。つまり、パアンからタトンの行程の1/4くらいの場所だ。

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パゴダは車道に面していて、小高い丘の上にあるため目印になる。「あ、タトンまでの1/4くらい走ったな」というわけ。

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このパゴダの門前には、写真のような3つの建物が並んでいる。

左から、聖人紹介所、寄進所、通夜堂である。

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まず、聖人紹介所から見ていこう。

外から見ただけでもその充実ぶりに感動してしまう。

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お坊さんを左から順番に見ていく。ここのお坊さんについては、ミャンマー人に名札を読み下してもらったので、多少詳しく説明できる。

一人だけ立っているヒゲの人。頭髪もあることから、通常の僧ではなさそう。

名前はネームプレートによれば「パーメセヤド」。「セヤド」は「老師」のような意味。「パーメ老師」と訳せばいいか。

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メガネ仏発見。

名前は「ポーパゥッセイ」。

どのお坊さんも造形が妙に生々しい。

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「ヤッカンセンタンセヤド」。「タン」は「山」なので、「ヤッカンセン山の老師」みたいな意味。

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ジョービューセヤド」。「ジョービュー」は「シラコバト」の意味。

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「ターマニャセヤド」。ターマニャヒルを再興した高僧。

日本では「ターマニャ僧正」と訳される。日本における「僧正」という位と完全に合致するのかどうかはわからない。

菜食、平和主義を唱えたお坊さんで、生前は大変に人気があった。僧正が居を構えたターマニャヒルには、2万人以上の信者が集まり、町ができたほどだ。

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「アランタヤセヤド」。

モン州の高僧。

日本語の訳も「アランタヤ僧正」でよさそうだ。タトンの先には彼の信徒が築いた巨大なパゴダ群がある。

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「ミャインジーグーセヤド」。本名は「ウトゥザナ」。「ミャインジーグー」は、サルウィン川の上流にある町でそこに居を構えたことからそう呼ばれている。

ターマニャ僧正の弟子でやはり平和主義を標榜したが、泰緬国境の山岳地帯でパゴダを再建する事業が、キリスト教徒が多かったカレン民族同盟と仏教徒の分裂を招き、のちに民主カレン仏教徒軍(DKBA)の盟主としてかつがれることになってしまった。

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中央は「白のガンダルフ」こと「ポーポーアゥン」。

お坊さんというよりは、ナッ信仰の行者。

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手前は「おっさん」こと「ボーミンガウン」。

こちらもナッ信仰の行者。

二人は子弟関係で、ポーポーアゥンが師、ボーミンガウンが弟子である。

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「スエパロオンブーブー」。

「ブーブー」は「おじさん」のような意味で、「スエパロオン翁」みたいな感じか。

この人もナッ関係かと思うが、服装からすると実在の人物ではなく、伝説上の人物かもしれない。

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充実した聖人紹介所だ。

ここにいる人物くらいは、すぐ名前が出るようになりたいな。

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隣は寄進所。

日中は人が常駐していて、車が通ると鉢を持って出てきてアピールする。

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その隣は通夜堂。

この堂が本当は何なのかはよくわからない。

日本では道行く巡礼が野宿するための堂として、四国や瀬戸内に「通夜堂」と呼ばれるものがある。

ここも野宿できそうなので通夜堂と呼ぶことにする。

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通夜堂の中では若いカップルが濃密にイチャついていた。

ミャンマー人ってけっこうお寺でイチャつくよね。

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気を取り直して、パゴダへ向かう。

石段の最下段あたりが広くなっているので、ここでサンダルを脱ぐのがよさそう。

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裸足でパゴダへ向かう。

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基壇は四角で、四隅に小さな仏塔があるタイプだ。

全部を金色で塗るのではなく、四隅は銀色を使っているのが特徴があってよい。

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時計まわりにパゴダの周りを見ていこう。

塀に切り欠きがありそこに鐘つき柱があった。丘の上で鳴らした音が遠くまで聞こえるようにという配慮だろう。

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鐘の先にはシンウーパゴ堂。

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堂の中に水場を作ってあった。

シンウーパゴは太陽の高さを観察する→星を読む船乗りから信仰される、という伝承を聞いているが、水とのつながりはどこから出てきたのだろう。船乗の信仰→海、ということか。

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シンウーパゴ堂の奥には、コブラ光背の仏陀。

調伏させられたドラゴンが、自ら雨傘となって仏陀を守護したという伝説から来た仏像の形態。

こちらは水を溜められそうな構造になっているが、水はなかった。

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コブラ光背の仏陀の手前には、シンティワリ堂。

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リアルカラーバージョンのシンティワリ。

右手につえ、左手にウチワを持っていることが多いようだ。

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丘の裏側。

斜面に張り付くように、小さなお堂があった。

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お堂の横には、五比丘堂。

淡々と紹介できるようになってきたな・・・。

初めてミャンマーのお寺を見たときは、すべてが変なモノに見えて、何がなにやらわからなかったのだが、理解できるものが少しずつ増えてきた。

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講堂。

ここは後ろ側。

水飲み場が併設されている。

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講堂の前側。

ゴロ寝しているおじさんがいた。

寺の堂内でゴロ寝、これもミャンマーでは定番だ。

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男女の神像。ズェガビンの神様か。

読めそうで読めないプレート。「ソーナン、キンタイッナン」って書いてあるのかも。2人の名前か。

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丘の上から突き出すように作られた遥拝所。

使い方はナゾ。

もしかしたら、朝日を拝むのかもしれない。

(2014年07月26日訪問)