タンダウンジーへの道

かつて日本軍の陣地があったという。

(ミャンマーカレン州タンダウンジー)

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カレン州北部、タンダウンジー郡区の中核となる町タンダウンジー(タンダンジー)は、海抜1,000mを越える避暑地である。

カレン州にありながら同州の他の地域とのアクセスは悪く、バゴー管区タウングー市から登山ルートが造られている。これからそのタンダウンジーへ向かうわけだが、そのルートについて紹介する。

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登山口のタンダウン(タンドン)町を過ぎ、登山道に入るとすぐ左側の山の斜面に、なんだか物騒な感じの施設が見えてくる。

これ、私は「トゲトゲ要塞」って呼んでいる施設なんだが、通訳さんに質問してもはっきりとした回答が得られない。政府の警察軍の監視所か、KNU(カレン民族同盟)の陣地かのいずれかと思う。パプン方面にもいくつかあることから、これがある地域=外国人の立入制限がある地域と考えている。

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タンダウンからうねうねとした舗装路を走ること45分、だいぶ標高が上がってきて、見晴らしのよい尾根へ出た。

ここに数軒の人家があり、ここに職場スタッフの知人がいるらしく挨拶に立ち寄る。もしかしたら立入許可と関係して立ち寄らなければならないのかもしれない。軍事政権関係者ではなく、たぶんKNU関係の人々だ。

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ここにもあのトゲトゲ要塞がある。ということはやはりKNUの施設なのか。

正直、写真を撮っていいものなのかよくわからない。

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タンダウンジーへの山道は1903年にイギリスが造ったのだという。タンダウンジーにキリスト教会が多いのもそのためか。

この山道はタンダウンジーで行き止まりで、他の地域へはつながっていない。いっぽうタンダウンからカヤー州の州都ロイコーへ通じる山道は別にあり、そちらは日本が造ったという話も聞いた。

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この尾根の東側に樹が伐採された明るい斜面がある。何かの栽培地ではないかと思うのだが、この斜面に戦争中に日本軍の陣地があったというような話を聞いた。

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話の内容では左写真(GoogleMaps)の矢印付近のような話しぶりだったが、ぜんぜん違う可能性もある。

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その陣地へ通じる枝道。日本軍が開削した道だという。

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その陣地があったという斜面方向。

現在のトゲトゲ要塞は尾根の視界の開けた場所にあるが、なぜ日本軍は尾根を下りた場所に陣地を作ったのだろう。

ビルマ戦線の敗色が濃くなりここから日本軍が撤退するとき、通信施設などを爆破していったという。

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少し登ってからこの尾根を見下ろしてみた。

トゲトゲ要塞はこの登山路ににらみを利かせる場所にあることがわかる。

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要塞全景。

日本の戦国時代の山城ってきっとこんな風情だったのだろうな。

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この尾根を過ぎると、避暑地タンダウンジーはもうすぐだ。

(2017年01月06日訪問)