徳祥寺

本堂より巨大な位牌堂がある。

(山口県山口市徳地野谷)

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佐波川関水から次の目的地に向けて少し走ったところにある寺、徳祥寺。

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『全国寺院名鑑』の建物リストを見ると「釣屋」という表記があったので寄ってみることにした。この本は、全国の主要寺院の宗派、本尊、建物、由緒などを羅列したすさまじい本で、類書の中でも情報量が群を抜いている。地方寺院好きの必携の書である。

ただし難点もあり、字が小さく新聞の求人欄なみに漢字ばかりなので読み通すのは苦行そのもの。さらに検証が不十分でそのとおりの堂宇が実在しないこともよくある。だがそれはそれで現地に行ってみる楽しみが残ることにもなるのでよしとしなければならない。

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果たして、「釣屋」は存在するのだろうか。それとも「鐘堂」の誤植なのか。

さっそく参詣してみうよう。

山門は四脚門。見たところこの寺の伽藍では一番古そうだ。江戸末期くらいはいきそう。逆に言えば、他の伽藍は新しいものばかり。この寺は近くのダム建設の水没地にあったのが現在地に移転してきたという。そのとき門だけは移築し、他の堂宇は再建したのだろうか。

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本堂はRC造で入母屋造り。

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その右側には玄関と庫裏。

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本堂の内部。

内陣の左右にタヌキの置物があるのはなぜなのだろう。

実はこの寺、Google ストリートビューで境内や堂内をくまなくパノラマ表示できる。地方の寺院でここまでたくさんのパノラマビューを持つ寺ってそうはない。本堂を見ると現在でもタヌキの置物は健在だ。

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本堂の左側にはかなり大型の堂がある。

外観からは即断できないが、座禅堂?

それともこれが釣屋なのか?

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中に入ってみたら位牌堂だった。1軒のスペースが広く、かなり贅沢な位牌堂だと思う。

位牌堂というとよくあるのが本堂の内陣の背後に凸型に突き出して作られるケースだ。だがさっきの月輪寺の本堂の左側も位牌堂になっていたので、この地方の特色なのかもしれない。

結局、釣屋も鐘堂もなかった。

(2003年09月04日訪問)