西堂寺

港に浮かぶ小島が寺になっている。

(山口県萩市江崎)

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津和野町から北上し、日本海の海岸線に出た。ここから左回りに海岸線をたどりながら下関を目指すつもりだ。

島根県から山口県に入って最初の町、田万川(たまがわ)町。西堂寺という寺に立寄ることにした。たぶんこの町を代表する観光地である。

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寺は深い湾の中の奥の、二股になった小さな入江の小島にある。島の面積は500坪くらいのとても小さな島で、島全体が寺の敷地になっている。

島へは石橋で渡れる。

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山門は三間一戸二重門の仁王門、、、

、、、いや!違う。

3間のように見えるけれどこれは1間で両側は裳階(もこし)というか下屋みたいな部分だ。つまり「一間一戸二重門裳階付き」とでもいえばいいか。

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仁王の後ろ側から鉄砲階段で二階へ登れるという、二重門にしてはめずらしい造り。

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なにせ島は狭いので、門の裏側もすきまなく建物が建っている。

特に庫裏が二重門と密着しているというのも、ちょっと他では見た記憶がないくら珍しい。

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門を過ぎると、庫裏、玄関、本堂、地蔵堂の順で堂宇が一直線に並んでいる。

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本堂の濡れ縁に置かれていたおみくじの自動販売機。

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これが地蔵堂。

平面が六角形のいわゆる六角堂だが、千鳥破風向拝と裳階が付いて重層になっていることから、「ムムムッ、怪しい、もしかしてさざえ堂的なモノか?」と疑ってしまう外観だ。

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これはチェックしないわけにはいかない。

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中を覗いてみた。特に複雑な廊下などがあるわけではないものの、内陣と裳階部分がはっきりと分かれたおもしろい構造だった。

格天井の格子も鋭角で細工されていて凝っている。なんか成田空港のロビーの天井を思わせる。

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さらにおもしろいのは、六角堂の後方に自然地形の岩体があるのだがそれを削らずにそのまま残して建物を建てていることだ。

めり込んだ岩体はそのまま須弥壇になっている。

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堂内で瓦せんべいを売っていた。

地蔵尊は、もともとこの地に住んでいた長者の娘が湾に身投げし、長者が探したところ網に地蔵尊がかかったものがその始まりと伝わる。

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境内の奥には子育地蔵があった。よく見るとこの地蔵の右側の幟杭に「気象警報」という文字が彫られている。

もしかして、出港する漁船に嵐の接近などを知らせるための旗立てなのかもしれない。

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子育地蔵の横には鎮守社があった。

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六角堂の裏手には、石の桟橋のようなものがある。

これほどの喫水がある船はこの浅瀬には接岸できないと思われるので桟橋ではない。いったい何なのだろう。

六角堂の前から見渡した江崎湾の様子。L字に入り込んだ入江なので波も静かな良港だ。

中央に見える橋は「江崎大漁橋」。江崎漁港の入江をまたぐ立派な橋だが、入江をひとまわりしても5分もかからない小さな湾なので、これほど立派な橋を造る理由がよくわからなかった。

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漁港のほうから島をみた様子。

なかなかに風光明媚な場所だな。

(2004年05月02日訪問)