東地の沈下橋

車が通らないので川遊びに適している。

(徳島県佐那河内村下東地)

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これはGoogleMapsで見た園瀬川の衛星写真。園瀬川は佐那河内村の大川原高原を源流とし、徳島市街で海に注いでいる。

さて、園瀬川に限らず、徳島県の川を見るときによく理解しておかなければならないのが「先行谷(せんこうこく)」だ。

一般的に川は尾根から谷に向かって流れる。そんなことは当たり前と思うかもしれない。だが、先行河川と呼ばれる地形では、川が谷から尾根の方向に流れるのだ。

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この写真を見て欲しい。ピンクの点線部分は断層谷(だんそうこく)でひとつづきの谷なのに、園瀬川はこの谷の途中から尾根方向に流れを変えている。

先行谷は切り通しのような地形だから平地が少なく、道路は狭く、半日しか日が当たらないような険しい地形になる。

これが四国山地((つるぎ)山地)の村々の特徴でもあり、四国に来たらそこを存分に味わって欲しい。

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園瀬川先行谷の段畑と、徳島の特徴的な四方蓋(しほうぶた)造りの民家。➡ 場所

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先行谷をしばらく進むと、国道から川に降りる道がある。

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かつて対岸に畑や林地がありそこへ行くための道だったが、いまはもう耕作されることもなく、この道を通る人はいない。

道端にカニ漁の注意事項の看板があった。

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カニとは「モクズガニ」のことである。モクズガニについてはいずれその漁の様子も紹介するつもりだ。

基本的に川の魚を捕るには漁協に入漁料を払う必要がある。園瀬川の入漁料は、ウナギを捕るかどうかで料金体系が2段階あるが、実はモクズガニは入漁料の対象外の獲物なのだ。それでも資源保護のためルールを守って捕りたい。

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橋はすごく低い。ちょっとした増水で通行できなくなるだろう。

橋桁はなく全体が堰のような構造で、川の水は2ヶ所ある水路で逃がしている。

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この場所は川面を渡る風も涼しくて、夏の暑い日などに何度か涼みに来たことがある。一日中クーラーの効いた部屋にいて気持ち悪くなりそうな時など、足を水にひたしてぼーっとするのは最高だ。

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徳島市はこんな場所が市街地から20分くらいのところにあり、しかも東京近郊の川のように人だらけや、駐車場問題もない。四国の人口と自然のバランスの良さって、住んでみるとすごく実感できる。

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園瀬川の先行谷部分は、ほぼ左岸にしか道がなく、右岸は人跡もまれな照葉樹の森だ。

川の片側が生き物をはぐくむ手付かずの環境なので、テンやイタチなど水辺の動物をよく見かける。

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上流に人口2千人弱の佐那河内村があるが、川の水はきれい。

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のぞき込むと魚が泳いでいるのが見える。

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2009年8月の台風で川の水量が増え、橋がダムとなって上流側にダム湖のような広い水域ができた。

そこで、夜にこの川に潜ってみた。

園瀬川の魚たちを紹介しよう。

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川のごちそう、モクズガニ。

川と海を行き来するカニで、大きさは大人の拳くらいある。上海ガニとほぼ同種といわれている。夜行性なので昼間は見つけにくい。

右上にも一匹ひそんでいるな。

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カワムツ。

徳島の川でどこでも見かける非常にポピュラーな魚。

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テナガエビ。

これも川のごちそう。

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シマドジョウ、かな。

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カマツカ。

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ニゴイ、かな。

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オイカワ。婚姻色が美しい、川の貴婦人。

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ギンブナ、かな。

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コイ。

この日はウナギも見かけたが、動きが速く写真は撮れなかった。

わずかな時間川に入っただけで色々な魚が見られる。西日本の川は魚の種類が多いので、シュノーケリングとかしたら楽しいのだ。

(2006年12月23日訪問)