滝バタの沈下橋

嵯峨川上流部にある沈下橋。

(徳島県佐那河内村下滝バタ)

佐那河内村(さなごうちそん)で主に人が住んでいるのは園瀬川沿いの東西の断層谷と、嵯峨川沿いの侵食谷の2ヶ所である。

村役場や学校などがある園瀬川沿いでは右岸の斜面に耕地が多い。つまり北向きの斜面に人が暮している印象だ。

それに対して嵯峨川のエリアは左岸の斜面に耕地が多い。つまり南向きの斜面に人家が多い印象である。南向き斜面は圧倒的に日照時間が長くなるから暮しやすく、農業にも向いている。

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嵯峨川の上流部は、山がちではあるがおだやかでいかにも暮しやすそうにも見える。

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産業は斜面を利用した柑橘の栽培が盛んだ。スダチをはじめ、ダイダイ、ユズなど畑が段畑で作られている。

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嵯峨川をさかのぼりながら沈下橋を探していく。

途中、沈下橋ではないものの、素敵な抜水橋があった。

➡ 場所

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橋へのアプローチの石積みの道が美しい。

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中溝という集落で沈下橋を見つけた。

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橋桁や橋脚の上流側が丸く面取りしてある。

欄干はないが、橋幅は広いので怖い感じはない。

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この橋を利用しているのは対岸の農家だけなので、一般車両がこの道を通行することはなさそうだ。

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橋のすぐ下流側には取水堰があるが、水制工は破損してえぐられてしまっている。

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橋の対岸の農家さんで話を聞いたが、この沈下橋には名前はなく、冠水することはまれだという。

「この橋は水が乗るのも速いが、引くのも速い」

つまり水量が急に増えるような降り方のときに冠水するが、冠水するのは短時間らしい。

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同じ場所の増水時の様子。

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橋桁までは1mほどの余裕があり、道路にもゴミが打ち上げられていないことからこのときは冠水しなかったようだ。

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この橋が冠水するというのはよほどのことなのだろう。

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取水堰は完全に見えなくなって、怖いくらいの音を立てて水が渦巻いていた。

(2007年01月03日訪問)