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タコの山を鑑賞するときのポイントを以下で説明する。覚えやすいようにタコを人間の体に見立てて、いろいろな部位に名前を付けている。その際、人間と同じように右手、左手などと言い表すことにする。タコの右手はタコ自身から見た右側なので、正面の観察者から見ると左側になる。 ■修正履歴■ 2004.1.4 「オロシガネ」の名称を「盾」に変更。 2004.1.4 「ヒゲ」の名称を「襟」に変更。 2004.1.4 「イバラ」の名称を「触手」に変更。 |
いろいろな形がある。大きいもの小さいもの、細いもの卵形のもの‥‥。 頭をかしげている場合は、ほとんどが左にかしげている。右にかしげているタコはとても珍しい。 頭がないタコの山もある。それは厳密にはタコの山ではなく「石の山」という別商品である。 頭の中は小さな部屋になっていて雨をしのぐことが出きる。時として高校生のカップルがいちゃついたり、女子高生たちがお菓子を持ち込んでおしゃべりをしたり、読書をする人がいたりする。
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タコを擬人化して表現するとき、最大のポイントとなるのはツンと突き出した唇であろう。タコ山にも唇らしき部位がある。 多くのタコでは右上写真のように短い“ひさし”のようなものでしかないし、あるいは、まったく“ひさし”のないタコもある。 左下写真は漫画のタコのように突き出した珍しいタイプ。
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頭の左右に飛び出した“ひさし”部分を「耳」と呼ぶことにする。 一般的には耳のないタコの山のほうが多い。
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右上写真のように頭部に目が描かれているタコの山がある。このペイントは作られた当初からのものなのか、それとも後日描き足されたものなのかは定かではない。 目と同時に鉢巻きが描かれているタコも多い。 左下写真のタコは目と鉢巻きがモールドによって作られている珍しいもの。
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そもそも軟体動物であるタコに「肩」とい部位は存在しないのだが、説明しやすいように山の稜線の部分を「肩」と呼ぶことにする。 頭から肩にかけての壁のラインは、ナデ肩、標準、イカリ肩に分類できる。左の写真はわかりにくいが標準といったところだろう。左側にあるアーチの高さによってナデ肩になったりイカリ肩になったりする。
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肩と同様、タコに胸もなにもあったものではないのだが。正面の肩から下の部分のうち滑降面でない部位を胸と呼ぶことにしたい。
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タコの背面。(と勝手に我々が思っているだけかもしれないが。) 標準的なタコ山の場合、カスガイが打ち込んである。右写真のように背中から首筋までシームレスなっているタイプと、左下写真のように背中が猫背(半球を伏せたような形)になっていて、うなじの部分とは面がハッキリ分かれているタイプがある。校舎のほうが古いタイプという説がある
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大型のタコ山の場合は、標準型の背中とはかなり形状が異なっている。 大型のタコ山では背面にも滑降部があり、標準型でカスガイが取り付けてある面は、すり鉢状の滑降部になっている。 背中部分にボリューム感があるのが大型タコの特徴だ。
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肩の下のすきまなので、この部分をわきの下と呼びたい。 左わきの下はタコの特徴が現われやすい場所の一つだ。トンネル上の膨らみは時にはエロチックなまでに豊満な表情を見せる場合がある。 タコというよりもまるで巻き貝の貝殻のような印象を与える部位でもある。
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左わきの下に比べると右わきの下はそれほどなまめかしい印象はない。 それは左わきの下が螺旋状の先の見えないトンネルになっているのに対し、右わきの下は背中まで突き抜ける短く明るいトンネルだからだ。ここは歩いて通り抜ける通路でもあり、山の裏側へ廻るときの近道にもなっている。 ただし、まれに左右対称に右わきの下も螺旋状のトンネルになっているタコの山がある。
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タコの左胸にあるアーチ型の門。ほとんどのタコ山にこのアーチ型の門が存在する。 左の写真はずいぶんナデ肩のタコの山だ。 このアーチが存在しないタコの山、または、アーチが右胸にあるタコの山はいまだに見つかっていない。
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大型のタコの山がシルクハットをかぶっているものがある。この部分は展望台になっていて登ることができる。 手すりを乗り越えると、球体の上に出ることができるのがちょっと危ない気がする。
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帽子へと登るための階段は左肩にある。タコが右手を挙げて敬礼しているようにも、頭を掻いているようにも見える部分だ。 ほとんど登るための手がかりがないタコの山において素直な階段があるのはここだけである。 |
タコの口からハの字型に広がっている低い壁のような部分。滑降部を隔てる働きをしている。 この襟が厚いもの、薄いもの、角が丸いもの、角張っているなどの違いがある。
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口から滑り降りてきたときに突き当たりにある車止めのような突起。 せっかく滑り降りてきてもこの突起で停まってしまうので思う存分滑れないばかりか、危なくもある。そのせいか最初は突起があったのに後に除去手術されてしまったタコの山もある。 突起があるタコの山は古いタイプと考えられている。
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大型のタコの山の右胸前方にある平面。機動戦士ガンダムに登場するモビルアーマーが盾を構えている姿を彷彿とさせる。 中央の突起が肥大化したものと見ることもできる。この盾のために口から滑り出た場合は正面に壁があることになり、その抵抗感は中央の突起以上である。 盾は除去されることはないようだが、滑降部をカーブさせて壁に激突しないように改装されたタコの山がある。
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滑降部から滑り降りてきて平らになっている部分。
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タタキから右わきの下へ向かうところに段差がある。 この段差は時として跨ぐほど大きいときもあるし、ほとんど段差がない場合もある。
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通常は地面の下に埋まっていて見えないのだが、砂場の沈下等によって現われてしまった平らな面。もちろんここはタタキとは呼ばない。
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タコといえば当然吸盤が付き物なのだが、意外に吸盤の数は少ない。 吸盤がまったく遊びに結びつかないので、コストを削減するという意味もあるのだろうか。吸盤がまったくないタコの山も多い。
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タコの山に登るための金属製の手がかり。大型のタコでは前と後ろ両方に、標準型のタコでは後ろにのみ存在する。 滑り台を滑るためにこのカスガイを使って登っている子供はあまり見かけない。ほとんどの子供はスロープを駆け上がってしまうのである。 カスガイの配列は不規則なものと、整列しているものがある。
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部位というよりも意匠。角を丸く仕上げているタコの山と、エッジを持たせて面取りしてあるタコの山がある。
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耳の穴から出てきたところにある狭い通路。 左右両側にある。ここは水平のため滑ることはできない。
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口から出たところにあるスロープ。あえて「滑降部」と標記しないのは、タコの山はどこが上り口でどこが滑降部なのか明確な定義がなく、滑降部と思った場所が実は上り口だったりするからだ。 口のスロープを降りきったところにある中央突起はもしかしてスロープを駆け上がるための踏み切り板なのかも知れないのだ。 もっとも口のスロープはほとんどの場合、滑り降りることに使われているようだが。
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アーチから出たところにあるスロープ。 古いタコの山ではこの部分が到底滑れるとは思えないほどの急角度になっている場合がある。 比較的新しいタコの山では、この部分にイボイボが付いていて、登るための足がかりになっているものもある。 と、いうことはここはメーカーとしてはここは滑降部ではないと考えているのだろうか。 しかしここで滑っている子供は多い。
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右耳から肩の通路を出たところに直角につながっているスロープ。スロープというよりも通路と言うべきかも知れない。 傾斜は緩く、すべり止めのイボイボが付いているため滑降することは難しいと思われる。 下部は盾とつながっているので盾の一部とも考えられる。
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螺旋状のスロープ。頭の後ろを起点に90度カーブしながら滑り降りる事ができる。 ここは登るのには不適切と言えよう。なぜなら前方がよく見えないので、上から誰かが滑り降りてくるという危険性を常にはらんでいる。 またタコの山職人の施工の善し悪しが出やすい個所でもある。降下角度やバンク角が適切でないと楽しい滑りが期待できない。 残念ながら前半が急すぎて、後半部分がほとんど平らでスピードが持続しない物件が目に付く。
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想像するに、あまり人気のない滑降部なのではないか。なぜなら左わきの下のスロープを滑り降りるとタコの山の裏側に出てしまうからである。 右わきの下のスロープは角度が急なものが多く、本当に滑れるのだろうかと疑問を抱いてしまうような物件もある。 そもそも滑り出しが直線であり、滑降部の最後のほうに左カーブがあるというのも無理がある。いっそのことここにイボイボでもつけて上り口にしてしまえばいいのにと思うのだが。 なお、右わきの下が(左わきの下と左右対称に)螺旋を描いて前面に滑り出るような構造のタコがわずかながら存在している。
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陸上のスタートで手を地面についているところを思い浮かべていただきたい。そのとき親指が内側に、人差し指が外側になる。それになぞらえて両腕の先にある外側のスロープを「人差し指」のスロープと呼ぶことにする。 長めの通路の先が徐々にスロープになっているのでどのあたりから滑り始めるかという判断が問われる。
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左側の内側に向かったスロープ。適当な名前が思い浮かばないので、左親指のスロープと呼びたい。 いや、スロープというのも本当はどうなのだろう。斜度は緩く、途中から左胸のスロープと融合しているので、ただの通路という見方も出来るかもしれない。
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距離の短いスロープだが、小さな子供に人気がありわりとよく滑られているようだ。 また上り口として使う場合も、距離が短いので勢いをつければ一気に登りきることができる。雨の日の撮影などでタコ山に登る場合、最も登りやすい上り口となるのだ。
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右人差し指と同じように滑降部としてもよく使われている。特に滑り降りたところがタタキになっているため、右人差し指よりも人気がありそうだ。 口のスロープから滑り降りた後、すかさず、山に駆け上がるためのルートとしても最適。
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大型のタコの山の頭の真後ろにあるスロープ。幅が広くすり鉢状になっているのが特徴。 標準的なタコの山ではこの部分はカスガイのついた斜面になっている。
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大型のタコ山の背中の左肩部分にはスロープがある。これは外見からしても上り口ではなくて滑降部と考えて良いだろう。 右写真は滑降部は直線だが、カーブを描いているものもある。
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大型のタコの山の背後には、バラ鞭みたいなトゲの生えた細い触手のようなものがある。タコの体の一部とは思えい凶悪な雰囲気の触手である。 左肩にあるのは一本梯子になっている。
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頭から出て、左の触手へ行くまでの通路。途中にはスロープがある。 右写真では箱状の意匠になっているが、一般的にはもう少し生物的な曲線で作られている。
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左肩にある触手は二本梯子になっている。
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頭から出て、右の触手へ行くまでの通路。途中にスロープはない。
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タコの穴の正面中央のスロープ。 タコの口の部分にあたる。
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頭の真後ろに開いた穴。 階段や登坂部がほとんど存在しない標準型タコの山にあって、唯一の登坂用の入り口になっている穴である。 右写真のような正円型の穴のほか、馬蹄形、カギ穴型などが見られる。 また、穴の周囲が盛り上がっているか、くぼんでいるかなども着眼点であろう。
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頭から左肩の通路に出るための穴。
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頭から左わきの下のスロープへ出るための穴。 穴を出たところがスロープとなって落ち込んでいるので、縦穴にもなっている。
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大型のタコの山にだけ存在する。左肩の触手の道へ出るための穴。
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右肩の通路に出るための穴。
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右わきの下のスロープへ出るための穴。
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大型のタコの山にだけ存在する。右肩の触手の道へ出るための穴。
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右手の親指と人差し指のあいだにある“股”。 小さいトンネルであり、実際にここを潜ったことがある人は少ないのではないだろうか。
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左わきの下スロープの途中から分離して、左肩の辺りに抜けているショートカットトンネル。スロープを滑っている人にとっては迷惑な存在でしかないと思う。
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このページは「滑り台保存館」に協力するために調査したものです。