不動寺

参道には雄滝、雌滝。本堂唐破風には牛若丸や天狗の彫刻。

(静岡県浜松市浜北区平口)

今回の旅の目的は名古屋市の日泰寺周辺の散策なのだが、日泰寺は3度目になるのでそれだけでは面白くない。せっかく遠出するのだから、初めての場所にも行ってみたいというのが人情だ。そこでかねてから気になっていた静岡県浜北市の岩水寺周辺に立ち寄ることにした。この地方には遠州三山や天狗の寺方広寺など寺関係の見どころも多いため、今まで岩水寺周辺を訪れるチャンスがなかった。

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最初の訪問地不動寺は浜松市浜北区の南西部にある寺だ。境内は河岸段丘の断崖部の森の中にありなかなかにいい雰囲気。石段の上り口には湧水があり男滝、女滝と称する小さな滝がある。

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石段を登ると段丘の上に出て、本堂、庫裏、鐘楼、奥の院のある境内に至る。

不動寺は、行基が彫ったと伝える不動尊を本尊としていて現在は黄檗宗の寺。それで奥の院には天狗が祀られていたりして、もうわけがわからない。

本堂の唐破風の彫刻には、天狗と稽古をする牛若丸が刻まれているという念の入りよう。

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石段の途中にあった出世稲荷への参道。このような鳥居のトンネルは薄気味悪い雰囲気があって記憶に残りやすい。

参道は一直線に登る石段の男坂と、カーブして緩やかに登るスロープの女坂とに別れている。参道の途中には三十三観音や芭蕉の句碑などがあり飽きさせない。

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石段の上り口の左側にあった男滝。右奥の部分にちょろちょろと落ちているのがその滝だ。

滝つぼの池には地蔵尊が鎮座している。この後訪れる庚申寺にも同じように池の中に地蔵尊が立っており、このようなレイアウトはこの地方の特色なのかもしれない。

なお上り口右手には女滝と弁天堂があるが、女滝の方が野趣に富んでいて面白かった。ただ、写真は緑色の茂みのようにしか写らなかったので割愛。

(1999年11月23日訪問)