ハイカー達を追って、私は山道を進んでいった。数キロ進んだところで子供たちに追いついた。しかしハイカー達の目的地はどうやら森林公園らしい。森林公園の駐車場に車を入れ案内図を見ても鍾乳洞らしきものは載っていない。
はぁ~、はるばる関東からやって来て情報が間違ってたのかと、ちょっと力が抜けてきた。
そういえば、山道の途中に奥の院って看板のついた朽ち果てかけた堂があった。そこの写真でも撮って引き上げる決心をし、山道の途中で車を停めた。
奥の院から道を隔てた反対側には工事現場のような草ぼうぼうの更地があった。虫の知らせとでも言うのか、なぜかその更地が気になって、私は草をかき分けて進んでいった。もちろん首には巨大な懐中電灯を下げてだ。遅れて来たハイカー達が道からいぶかしそうに私を見ている。
するとどうだろう。茂みに隠れるようにして鍾乳洞の入り口があるではないか。看板もない、草ぼうぼうの工事車両の置き場のような場所にその鍾乳洞はあったのだ。結局、ハイカー達は鍾乳洞の事を知らなかったのだ。
入り口は鉄格子で閉じられているが、ラッキーなことに横の辺りの格子が破られており、難なく入洞することができた。入場無料というのはうれしい。
鍾乳洞というものは流行り神みたいなもので、はやり廃りの激しい観光地だ。ちょっとでもすたれるととたんに鉄格子がはめられて人々の記憶から忘れ去られてゆく。この鍾乳洞ももはや地元の人々の記憶からは消え去ってしまったのだろう。
内部は背が立つくらいの高さ。全長は最深部で100mくらいか。
途中枝分かれしたり高低があったりしてそれなりに複雑。
ちゃんと鍾乳石もあり、なかなかの迫力だ。
途中の枝分かれした通路の奥に転がっていた動物の頭骨。
犬か猫かはたまた狐か、迷い込んで死んだ動物がいたのだろう。ちょっとした探検気分が味わえる。
これが諏訪湖まで続いているという穴か?
洞内は懐中電灯は必須。ところどころ水たまりがあるので、ゴム長があるとベストだろう。
最深部には焼け焦げた木材が散乱していた。かつてはここに奥の院があったのではないかと思われる。
岩水寺付近に在住のO氏によれば、この鍾乳洞はかつては1kmちかくあったが途中部分が崩落して危険な状態にあるとのこと。私が見た部分ではまったくそのような洞窟とは思えなかったが、支洞などの見逃しがあったのかもしれない。入洞に際しては注意してほしい。
(1999年11月21日訪問)