千枚田(せんまいだ)というのは、田んぼ一枚の面積が狭く、枚数が多い棚田のことである。ただし何坪以下の田んぼが何枚あればいいというような定義があるわけではないので、ほとんどは自称ということになろうか。実際に1000枚以上ある千枚田もあるし、1000枚に満たなくても別に構わないのである。ここ大山千枚田には375枚の田んぼがある。
東京湾側の鋸南町から太平洋側の鴨川市に抜ける県道鴨川保田線は、首都圏から鴨川や勝浦を観光するときによく通る道である。その道を注意深く見ていくと、鴨川市に入ってしばらく行った右手に大山千枚田の入口を示す看板がある。田んぼの頂上部までは舗装道路があり、車で行くことができる。
これがその千枚田である。
小さな田んぼが無数に続いている。なんとも美しい光景である。
最上部のあたりは整然としている。まるでスタジアムのようだ。
田んぼの中には田植え機が入れられないような小さくていびつな形をした田んぼもある。
千枚田を目にするたびに、こうした山間部に田んぼを開いた先人の苦労はどんなものであったろうかと思いを巡らせてしまう。
棚田の最下部から頂上部までは、標高差が50mある。
田んぼ全体の中心の一角には、木が残されているところがある。棚田の景観の点景にも成っているのだが、なにか神聖な場所なのだろうか。
いくら眺めていても飽きない景色である。眺めているうちにとうとう日が暮れてしまった。
遊びに来ていた子供たちが両親に呼ばれてあぜを走ってゆく。童謡の中に出てくるような光景だ。
(2000年05月29日訪問)