出かけた時間が遅かったので、いくつも寺を見ないうちに夕暮れとなってしまった。きょうはこれが最後の訪問地になりそうだ。
実は、ここは寺を見に訪れたのではない。ミャインカレイ村の中央にある商店街が目的地。この商店街には飲食店が多くて、夕方に通りかかるとカフェや居酒屋でダラダラと過ごす人々がどことなく楽しそうなのだ。そんな夕景を見に来たのである。
中央商店街は片側2車線、歩道つきの大通りが作れそうな広さ。この先に鉄道駅でも作るのかという風情。
国道を通るたびにこの道が気になって、一度は分け入ってみたかったのである。
大通りを入ってみると、すぐに商店街は途切れて、巨大な交差点になっていた。
この交差点の片側は広大な空き地になっている。お祭り広場ではないかと思われる。
そのお祭り広場からパゴダが見えた。
パゴダのほうへ行ってみると道路の舗装工事中で車止めが道を塞いでいる。
だが右側は舗装工事が終わっており、歩いている人がいたので、車止めを越えて寺のほうへ行ってみた。
山門の前はコンクリートを打ったばかりで養生シートが敷かれており、境内には近づけない雰囲気だった。
門も閉まっている。
もう暗くなってきたし、ここから寺の様子を観察して引き返すことにしよう。
寺の前には寄進所。
ミャンマーでは寄進所は寺の外に建てられていることがある。寺が主要道から参道で引っ込んでいる場合などは、交通量が多い主要道に面した場所に建てるのだ。
ここでは、寺の境内のすぐ外の道路の反対側に建てられているのだった。
寺の正式な名前は、アウンスパンセディドパゴダ。「願いがかなうパゴダ」というような意味とのこと。
塀が低いので、中がよく見える。
これはおそらく講堂だろう。
パゴダとタコンタイ(石柱)。
パゴダは四角の基壇に載っており、基壇上まで参詣者が登れるように石段がついている。
そうこうするうちに、あたりはどんどん薄暗くなってきた。
お祭り広場のほうからパゴダを眺めると、ライトアップされて黄金に輝く姿が幻想的だ。
こんな田舎町で、国道からも引っ込んだ場所でライトアップをするのは、観光目的ではなく、仏教の教えを賛えるためにしていることなのだろう。
商店街のお店や飲食店にも灯がともり、いい雰囲気になってきた。
ここはパアン市街からは10kmは離れているのだが、不思議と懐かしい感じがする場所なのだ。たぶん、戦後の日本の田舎はこんなだったのではないかという空気が、そう感じさせるのだろう。
この町に行きつけの食堂でもあったら楽しいだろうな。
このとき、まだあと11日パアンに滞在予定でもう一回週末があると思っていたので、ゆるゆるな一日になってしまった。
だが週が明けてみるととつぜんに大きな仕事の依頼があり、パアンを離れるまで土日返上での仕事となってしまったのだった。結果としてここがパアン滞在の最後に訪れた寺だったのである。
(2014年07月27日訪問)