しとしとと雨が降り続いている。一緒に雨宿りしていたミャンマー正規軍の若い兵士たちも、結局雨の中を出ていってしまい、茶店の中はまた静かになった。プラスチックの椅子とテーブル、インスタントコーヒーを出す街道筋の粗末な茶店でかれこれ2時間はぼーっとしている。ミャンマーの雨季の観光はだいたいこんな調子だ。雨ガッパを着たり、傘を差したりしてまで寺参りするという気持ちにもならず、こうして休日の午後が終わってゆくのだった。
ミャンマーの季節は3種類。「暑季(3月~5月中旬)」、「雨季(5月下旬~10月下旬)」、「乾季(11月~2月)」であり、今回は雨季にあたる。
前回のカレン(Kayin)州訪問から4ヶ月後、私はまた仕事でパアン(Hpa-an)市に滞在していた。前回は初めての仕事ということもあって、現地のスタッフもいろいろ気を使ってくれてお客様あつかいだったが、今回は2回目で慣れてきたこともあり休日は自由に過ごすことができた。
そしてそれ以上に、現地でオートバイを手に入れたのも大きかった。これまで車窓に過ぎていってしまった小さなパゴダに立寄ることもできるようになり、となり町、となり村までが行動範囲になった。今回紹介するカレン州の寺は、地元の人も行かないような寺が多いはずだ。