ヤンゴン大学の近くで昼ご飯を食べたあと、せっかく近くまで来たのだからと、アウンサンスーチー女史の家を見ていこうということになった。場所はインヤー湖という湖の南側、邸宅はこの湖に面した敷地にある。
アウンサンスーチー女史は日本ではスーチーさんと呼ばれることが多い。ミャンマー建国の父と言われるアウンサン将軍の娘で、ノーベル平和賞を受賞した政治家。軍事独裁政権が続いたミャンマーで、民主主義を標榜し政権と対立、たびたび自宅軟禁されてきた。
私が2000年にミャンマーを訪れたときも軍事政権との対立が厳しかったときで、スーチー邸の前の道路は軍に封鎖され、家に近づくことすらできなかった。もちろん、カメラなど向けようものならどんなことになるかわからないという時代だった。
だがインヤー湖の中島に遊園地があり、その観覧車に乗るとスーチー邸が見えると言われており、そこから撮った当時の写真がこれ。
スーチー邸の前の道。以前に訪れたときには封鎖され通行できなかった道路だ。
最後の軟禁から開放されたのは2010年の末で、それほど昔のことではない。
スーチー邸の正門。
赤い旗は、彼女が率いる政党「NLD(国民民主連盟)」のものである。赤地に黄色いクジャクが描かれており「戦う孔雀」と言われるNLDのシンボルマークだ。
スローガンが掲げてあった。たぶん「人々と国のために断固として行動する」と書いてあると思う。
中央の写真はおそらくスーチーさんの父、アウンサン将軍。彼は第二次大戦でビルマ独立のために戦い、若くして国のリーダーになったが暗殺されてしまう。いまでも国民の人気が高く、その写真は頻繁に見かける。
この道の並びにはアメリカ大使館がある。
スーチー邸とアメリカ大使館はすぐ隣なのだ。
この写真を撮った2014年には、以前のような緊張は感じられず、正門の前で気軽に記念撮影ができる雰囲気だった。
ただし、この時点でミャンマーはやはり軍事独裁政権の国である。軍は国防や治安維持という名目以上に、経済活動や権益と強力に結びついている。2015年には総選挙が予定されているが、民主的な手続きによる政権交代ができるのかどうかは予断を許さないと思う。ふたたびスーチーさんが軟禁されるような混乱が起きないことを願うばかりだ。
(2014年08月08日訪問)