勝山町は舟運の盛んだった河港町であり、出雲街道と美作街道が合流する宿駅であり、三浦家二万三千石の城下町でもあった古い町。その町並みは倉敷美観地区と並び、岡山県を代表する歴史的町並みといえる。
きょうは久世町に宿をとっているが素泊まり。夜は湯郷温泉の露天風呂を利用してから宿へ行くつもりなのだ。そこで日暮れまでを湯郷の入口、勝山町で過ごすことにした。
時刻はもう18時過ぎ。
観光客相手の店もすべて閉まり、町には人影がない。土産物屋をひやかすのが目的でなければ、16時すぎぐらいから町並みをぶらつくと静かで落ち着いた雰囲気を堪能できる。
町並みは白壁や格子戸がきれい。
町の成立は当然古いが、こうした二階屋の多い街道筋の景観が成立したのは、おそらく明治以降であろうと思う。
それなりに修景などされているのだろうが、道路は普通のアスファルト舗装だし、側溝や電柱も現代の生活感があって、過剰にテーマパーク化していないのが好ましい。
古い町並みと電柱の組み合わせは、私は別に悪いとは思わない。電柱を撤去すべしとの論に対しては、町並みの外観が明治に成立したのなら、明治風の電柱にするというのなら納得できるが。
内部が三階ではないかと思わせる大きな商家。
このように二階の屋根を二段構えに葺いてある建物がいくか見られた。
利用店に改造された店蔵。
修景が主体ではなく、あくまで営業が主体で改装されてきたのだろう。私はどちらかというと、こういう変化していく建物が好きだ。
三階建ての商家があった。
こちらは、ばっちり改修されている店蔵。
ここまでが、美作街道に沿った町並みである。実は、勝山の町並みの特徴はこの街道筋の裏手にあるのだ。
街道筋の裏側には旭川という川が流れている。
その川面に出てみる。造り酒屋があった。
川沿いには舟運の荷揚げ場が続いている。
かつて舟運で栄えたという町が多くあるが、河川改修によってその面影は失われてしまっていることが多い。
勝山は山間部の
家々の石垣や舟着き場に続く石段の立体的な景観がおもしろい。
高瀬舟が行き来した時代の光景がありありと浮かんでくる。
静かで、時が止まったような贅沢な時間だ。
(2003年04月30日訪問)