口戸磨崖仏

磨崖仏というよりも石窟寺院の雰囲気。

(大分県大分市口戸平野)

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きょう最後の訪問地、口戸(くちど)磨崖仏。

大分川の蛇行が切り出した半島のような丘陵の突端にある。はじめ場所を間違えて違う場所を探してしまったが、国道442号線に標識が出ていたので場所がわかった。

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ただ、案内通りの山道を進んでみると、倒木などでめちゃくちゃに荒れていて通れない。

しかたなく、横の車道のほうから磨崖仏を目指した。

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磨崖仏と思われる崖が見えてきた。ここいくつか見てきた、丘陵の頂上部分に掘られた洞窟形式らしい。

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むむっ!

これ、磨崖仏というより石窟寺院といったほうがいいんじゃない?

いままでになく、洞窟の造りが複雑だ。

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洞窟へは階段で入るようになっているのだが、神社でいう割拝殿のようになって石橋が架かっている。

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もうね、石仏がどうこう関係なく、この構造だけで興奮してまう。

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ひとかたまりの岩から掘り出した階段、石橋、石の柱、これらが一体となった伽藍なのだ。

岩の材質は礫の混ざった火砕岩で硬めなのだが、石橋はかなり薄くて湿っている。悪ガキが上で飛び跳ねたら終わりそうな儚さ。よく今日まで残ったな・・・。

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案内板によれば、この石窟は寺院ではなく神社に関係するという。

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石段を登ったところの中央の龕には「小倉山」と書かれている。これは宇佐神宮のことだから、この石窟は宇佐神宮の分祀と考えられるというのだ。

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石像ははっきりしないが思惟像。

案内板によれば比売大神(ひめおおかみ)。宇佐神宮の三社の中央に祭られる三姉妹を表しているという。

宇佐神宮は本殿が3つ並んでいて、八幡大神、比売大神、神功皇后が祭られている。そこからの推定なのだろう。

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左側の龕には鳥居のような造形がある。

案内板によれば神功皇后。

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う~ん、言われなければ辨財天かなって思ってしまいそうな姿。四臂だし・・・。

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右側の龕にはよくお寺の開山像が座っている椅子のようなフレームに収まった半跏像。

案内板によれば応神天皇。

言われなければ地蔵菩薩かと思ってしまいそう。

なんか、案内板の説明が釈然としない・・・。

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文化財の案内板。

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時刻はもう17時。

最後の最後にすばらしい石窟が見られた。

このあと、毎度の佐賀関→三崎フェリーで愛媛県へ。これで長かった九州旅行もおしまいになる。

佐田岬半島から徳島市まではがんばって走ればその夜のうちに帰れるのだけれど、愛媛で寄りたい場所もあって八幡浜でビジネスホテルに転がり込んだ。

(2012年03月26日訪問)

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