西の方へでかけた帰りにふと思い付いて
柿原堰は明治時代に着工し大正時代に完成した取水堰だ。吉野川の取水堰というと一時可動堰建設で市民運動が盛り上がった第十堰が有名なのでこちらはあまり脚光を浴びないが、規模的にはあまり変わらない。
建設された目的は吉野川北側地域の農業用水の確保だ。
吉野川の北と南では景色が違っている。南側は後背湿地が広がり水位の高い支流が多い。一方で北側は阿讃山脈から流れ出た川が造った扇状地が多く、支流もほぼすべてが天井川で水の確保がしにくい地域。しかも気候的にも瀬戸内気候の影響で雨が少ないのだ。
第十堰と同様にもともとは石積みで、堰といってもダムのようなものではない。
環境負荷も小さく、吉野川に住む生き物のほぼすべてがこの堰を行き来できるだろう。
所々に優先して越流する場所や魚道があるので、ゴイサギたちの絶好の狩り場になっている。
とは言え、吉野川は水量も多く、鳥が食べるくらいで魚が減るような川ではない。
川辺まで行ってみた。
チリメンカワニナの一種かな。
石組み自体が小さな生き物の住み家になっている。
川岸に和船が係留されている。
何なのかね、四国の川でときどき見かける和船。
柿原堰なんて観光度ゼロだから、観光客相手のオブジェではないと思うので、川漁師でもいるのだろうか。そういう実像が私にはまだよく見えていない。
遠くには吉野川中流地域の人々の心のより所たる霊山、高越山がシルエットになって見えていた。
誰にも邪魔されず一人になりたいようなときにいい場所だな。
ちなみに駐車場などは一切ないけれど、堤防道路の路肩に駐車すればよい。
(2007年09月09日訪問)