羽黒山・五重塔

東北きっての名建築で国宝の五重塔。でも石段がきつい。

(山形県鶴岡市羽黒町手向)

出羽三山といえば、羽黒山、湯殿山、月山を言うが、壮大な社殿を持つ神社が三社あるというのではない。湯殿山は山自体がご神体だし、月山も山頂に社殿があるだけである。私たちが想像するいわゆる普通の神社は、羽黒山だけなのである。

その羽黒山には湯殿山、月山と羽黒山を合祀した出羽三山神社という神社(というか寺)がある。湯殿山、月山が高峰であるのに比べて、羽黒山は人里に近く比較的容易に参詣できるため、この出羽三山神社が庶民の信仰を集めおおいに発展したというわけである。わかりにくい言い方にはなってしまうが、「出羽三山」といえば山岳としての羽黒山、湯殿山、月山を言い、「出羽三山神社」といえば羽黒山にある神社のことと言えよう。

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手向の集落を登りきると、数件の土産物屋があり、出羽三山神社の総門(八脚門)がある。総門からは意外にも長い石段を下って谷に降りてゆく。

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谷に降りるとそこにはいくつもの末社が続いている。

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仏教的なお堂もある。

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朱塗りの太鼓橋を渡ると、いよいよ総門付近のクライマックスである五重塔へと至る。

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五重塔は平将門が寄進したという伝説もあり、国宝に指定されている。軒が深く各階の低減率が大きいため美しい姿をしている。関東以北で最も美しい塔と言っていいだろう。文句なしに言葉通りに国宝級の名建築なのだ。

この塔の写真は誰でも一度や二度は目にしているだろう。

五重塔を過ぎると、約1.5キロ程の急な山道を登り本殿に行けるのだが、ほとんどの観光客は五重塔を見たら引き返すことになる。山頂へは有料道路が続いており、車で本殿の近くまで登ることができるからだ。

もちろん私も引き返すことにした。総門まで戻るための階段だけだって、私のような軟弱な参詣客には大変な運動だ。総門に戻ったころには全身から汗が吹き出し、土産物屋に飛び込んで、すかさずかき氷を食べた。

(1999年08月25日訪問)

日本のお寺・神社 絶壁建築めぐり

単行本(ソフトカバー) – 2019/6/22
飯沼義弥 (著), 渋谷申博 (監修)
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