夜の高山市

日の落ちた上三之町はがらがら。

(岐阜県高山市上三之町)

八幡町から高山市までは80Kmほどの道のりだ。しかし途中の荘川村までは高速道路が開通しているのでそれを使って、宵のうちには高山市に到着することができた。食べるところと寝るところ、そして、立ち寄り湯の情報を求めて町を散策した。

高山市は「小京都」と呼ばれる町並みが有名だ。全国には「○○の小京都」と呼ばれる町並みがいたるところにあって私もいろいろ見てきたが、まあ正直なところ、本当に京都にたとえることができる町並みは数えるほどしかない。高山市は、本当に京都にたとえられるほどの雰囲気があるし、そのバックボーンとなる絢爛な文化を擁するという点で抜きんでた存在だ。

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高山市の町並みの中でも特に町家が連続して残っているところは、上一之町、上二之町、上三の町という3本の南北の通り沿いである。写真は上一之町。

観光ガイドで見かける映画セットのような町並みは上三之町であり、その隣の二之町、一之町と進むにつれて観光色はみるみる薄くなってゆく。上一之町あたりまでくると、昼間でも観光客はまばらだ。また、上○○町に対応する下○○町という通りがあるが、そちらにいたっては、間違えて迷い込む観光客もいないほどで、カメラを提げて歩いていたらけげんな顔をされるのがオチである。

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日が落ちてからの上三之町の様子。驚いたことにほとんど人通りがなかった。明日の昼の高山の様子を見ればわかるが、昼間は東京の原宿の竹下通りみたいな騒々しい場所に変化するのだ。

しかし、通りの土産物屋や喫茶店が店を閉じてしまえば、観光客にとっては何の用事もない場所なのだろう。

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市の中央部を南北に流れる宮川の堤に出てみると夜桜がライトアップされていた。

5月とはいえ、日が暮れれば花冷えがする。

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駅に近い商店街の料理屋で、飛騨牛の石焼きで豪勢な夕食にする。

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時の鐘?

商店街のなかの路地を入ったところに小さな神社がある。外周は民家に囲まれていて外からはまったく見えない小さな神社だ。

その上部に望楼がある。

神社の敷地に入ると見えないのだが、写真のように裏手の通りから見ると確かに時の鐘のようなものがある。

実はこの鐘、前回高山に来たときにも夜間に見学してよくわからなかったのだが、今回も結局よくわからずじまいだった。どうやって近づくのだろう‥‥。

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高山市の旧市街地はどこを歩いても連子格子の町家の1軒や2軒は見ることができる。特に夜のとばりが下りれば、町の汚い部分は見えなくなって、ことさらに雰囲気がよくなるので、私はよく宿について日が落ちてから町並みを散策する。

そんな夜の街の雰囲気は写真やデジカメやビデオではなかなか伝わらない。いつか情報機器が発達したら、目で見たような映像を作ることができるようになるんだろうか。

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高山の夜は更けてゆく。

この夜は高山陣屋にほど近いスーパー銭湯でのんびりと風呂に浸かってから市内のビジネスホテルに宿をとった。

(2000年05月01日訪問)

古建築の細部意匠

単行本 – 1972/6/10
近藤 豊 (著)

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いつも机の上に置いてあります。