埼玉県の東部、私がイメージするのはJR高崎線の東側から県境の利根川までの地域だ。
そこは群馬県に住む私にとってはなじみの薄い地域でもある。前章の「埼玉・武蔵野をゆく」、「埼玉・川とともに生きる」は仕事などで東京への行き帰りに通過する場所で風景におのずと見覚えも生じるのだが、県東は幾人かの友人が住むほかにはこれまで関わりがなかった。
その中であえて思い出があるとすればさいたま市にある見沼田んぼである。私は社会人になってから東京の音羽に住んだが、よく見沼田んぼに散歩に出かけた。そのころはまだ自家用車も持っていなかったから足が電車しかなく、一番近くにある田舎が見沼田んぼだったのだ。
見沼はいまも田園地帯だが、当時はかなりのどかで、広い空の下で土の上を歩ける場所だった。もちろん都心にも緑地や広い公園は多いが、管理された園地ではなくただの田舎という見沼に魅力を感じていた。
それからずいぶん時がたっていまは群馬に暮らしているが、あらためて埼玉の県東地方を訪ねてみようかと思うようになった。群馬の東毛地方あたりから南へ、元荒川や古利根川の流れに沿って観ていこうかと考えている。注目するところは古い川の跡や内陸砂丘、かつて低地にあった掘り上げ田と呼ばれる農地の痕跡だ。
群馬県からは距離も遠くなるので、長い時間がかかるだろう。
