宮古市の市街に戻り、ガソリンを補給して昼食にする。食事が終わって、地図で次の寺をチェックして出発した。
ところがこのとき私は市街地にまだ見るべき社寺があるのを忘れて、郊外の次の寺をチェックしてしまっていたのだ。たぶん、岩泉線の峠越えで時間をロスしていたので、気持ちが先走ってしまっていたのだろう。市を出るときになって、はた、と気づいたが、いまから引き返す気も起こらず、そのまま次の寺へと向かうことにした。
その時、もうひとつ行こうと思っていたスポットを忘れていたことに気づいた。
「大煙突」である。
宮古市に初めて行った人が、この煙突を見ると間違いなく圧倒されるはずだ。煙突はコンクリート製で高さは160m、山の上に建っているので市街地からみるとまさに天を衝くような高さに見える。
スケールが違いすぎて自分が目で見ているものが理解できない眩暈感というか、まるでSF映画に出てくる軌道エレベーター(衛星軌道まで届くという塔)のマット画を見ているのではないかという非現実的な感覚にとらわれてしまう。
このときは、この煙突は現在稼働中の工場かゴミ処理施設の煙突とばかり思っていたのだが、後でこれが廃墟となった鉱山の煙突と知った。そうとわかっていれば絶対に立ち寄ったのだが。一生の不覚。
使われていないとなれば、日立市の大煙突のように消え行く可能性も高い。これはいずれもう一度行かなければならないだろう。どうかその時まで残っていてほしい。
(2000年10月06日訪問)