宮古市の南部で宮古湾の最深部にあたる津軽石は、宮古市とは離れた独立した地域である。
国道を離れて田畑の中を進んでいくと、大きな看板が目に飛び込んでくる。「おっ、この寺は期待できるかも!」などと心も踊る。実はこうした瞬間が一番幸せな時間なのかもしれない。
付近は田園地帯で、その背後の低い丘陵のふもとに瑞雲寺がある。
参道には鎮守社と三十三観音のミニ霊場。
短い石段を登ると八脚門、そしてその右側には鐘堂の屋根が見えている。門の両側には袖塀があって、白と黒の調和が美しい。
‥‥なんだか、どこかで書いたような文章だ。実はこの瑞雲寺、さきほど訪れた華厳院と伽藍配置が非常によく似ている。
こうしてまとめていなかったら、記憶の中ではごっちゃになってしまうに違いない。
山門を入って左側には、土蔵造の三十三観音堂。
内部はこんな感じだ。
本堂は正面6間。(5間の左右に半間の柱間があるタイプ。柱間の数で言えば7間だが、規模としては6間である。)
本堂の右側には玄関と庫裏がある。
本堂の左側には六角堂がある。位牌堂だろうか。
そして本堂の左手前には方丈。
他に境内には東司。
庫裏は花頭窓がついた土間のある間取りで、いかにも庫裏らしい庫裏といえよう。
鐘堂は屋根の傾斜が低くて不思議な入母屋屋根だ。しかも単層鐘楼にはふつう見られない高欄つき。
全体的に異国情緒ただよう異形の建築である。
(2000年10月06日訪問)