滝観洞

往復1.8 kmの一本道の狭い通路にあなたは耐えられるか。

(岩手県住田町上有住)

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滝観洞(ろうかんどう)

遠野市から釜石や大船渡へ向かう国道から大きく外れているため、他の観光地へ向かう途中に気軽に立ち寄るというわけにいかない、ちょっと厄介なスポットである。

鍾乳洞の入口の上にはJR釜石線が通っていて駅もあるが、それ以外に人家はない秘境である。現在この付近を通る新国道の工事中なのでそれが完成すれば行きやすくなるだろう。

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入洞料金は800円。この次に紹介する白蓮洞の入洞料も入っているので値ごろ感がある。近くの食堂で入洞料を支払い、ヘルメットを借りる。洞内は明かりは付いているから懐中電灯は不要。

入口の辺り。

天井が低く、どうなることかと思ったが、この先は背が立つ。しかし、頭をぶつけそうな場所が多いのでヘルメットは必須である。

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滝観洞はちょっと変わった鍾乳洞で、鍾乳洞というより地底の川に沿って一本道を歩くだけ、という洞窟だ。

深さは片道約900mほど。

上下移動はまったくなく、川辺にある狭い歩道をずんずん進んでいく。

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途中はヘアピンカーブに次ぐヘアピンカーブで、特に広い場所もなければ大きな見物があるわけではない。写真のような狭い通路を延々と歩くだけだ。閉所恐怖症の人にはつらいかもしれない。数秒間目を閉じたら、自分がどっちから来たのか分からなくなってしまいそうだ。

単調な岩肌が続く。そのうち感覚がマヒして、3DCGの映像を見ているような錯覚に陥ってくる。

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スターウォーズの映画で、ミレニアムファルコン号がデススター内部に突入するくだりを見ているような気分だ。

ところどころに歩きにくい場所もある。歩きやすい靴でなければ入洞は不可能。(たしか入口で長靴を貸してくれていたと思う。)

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姿勢を低くしないとクリアできない場所もある。

あるよねえ、自機視点のテレビゲームでこういう場面が。

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一番奥には広大な地下ドームと池があり、滝が轟音を立てて落ちている。高さは29mで地底の滝としては日本で一番高いのだそうだ。

そして、帰り道にはまた900mのせま~い通路が待っている‥‥。

とにかく地底を長く歩きたい、という根っからの地底人にお薦めの鍾乳洞である。

(2000年10月07日訪問)

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