忙しかった仕事が一段落した2001年の2月。忙殺された年末年始の日々を取り返そうとするように、週末ごとに友人と日帰りのドライブにでかけた。それも昼頃から出かける怠惰なドライブである。
その日は静岡県の道路地図を車に積んでとりあえず東名高速を西進する。富士川のサービスエリアで地図を開き、大井川をさかのぼってみることに決めた。
東名の吉田インターを降りてから、インター付近の吉田町内の寺を見たが、際立った寺もなかったので車窓からチェックしただけで榛原町の石雲院へと向かった。
車で登る長い参道には杉の巨木が茂り名刹然とした雰囲気が漂う。期待が高まる。
総門に到着。
総門は「高麗門」という形式。初出なので簡単に説明しておく。
高麗門は棟門(2本の柱で屋根の棟を支える門)の一種だが、門扉があり、その門扉を開いたときに門扉が雨に当たらないように後方に小屋根を設けた形式の門のことを言う。この小屋根が高麗門のポイントだ。小屋根を支える控柱と本柱は貫で接合されの安定性を補強する働きも兼ねている。
総門を入ると、木立の中に摩利支天堂、弁天堂、白山社などが続く。
木立を抜けると石段があり、その上に三間三戸の楼門が見えてくる。
この楼門は日光の陽明門を模したものだとか‥‥。ほとんど共通点を感じないのは気のせいか。
本堂は正面7間の寄棟造。
その手前には高尾観音という銅像が立っていた。
他にも堂が多く、禅堂、開山堂、庫裏、客殿、方丈、鐘堂、鎮守社、弓道場などがある。(下図)
禅堂。
近寄りがたい雰囲気を放っていたので、中を確認しなかったが、外見からして中はちゃんとした禅堂だろうと思われる。
ちなみに、この寺の裏山は静岡空港の建設予定地で、もし空港が建設されれば騒音が修行のさまたげになるかもしれない。
本堂の外から見える位置に裸体の弁天様がいらした。裸体というよりボディーペイントか入れ墨でもしたような模様が付いていてなかなかにエロチックである。
江ノ島の裸弁天よりそそられるものがある。堂々と外から見えるところに置かれているのも好もしい。
本堂の前にあった銅像。
説明によればどうやら道元(曹洞宗の開祖)が中国で修業中に腰の曲がった老僧に出会い、その老僧が自分の弟子を使わず自らキノコを乾しているのを見て、その理由を尋ねたというような場面が再現されているらしいのだが、説明が漢文調で書かれていて、意味は理解できなかった。
(2001年02月11日訪問)