大仙院。笠岡市内を走っていたら竜宮門を見かけたので立ち寄ってみた。
真言宗で、毎月旧暦の24日に縁日でにぎわうという。
寺の門前には川が流れていて、その両岸の道路は石畳で舗装された趣のある通りである。
一階の亀腹が目の覚めるような強烈な朱で塗られている。二階には鐘がつるされている。二階は壁のない吹き放ちだし、屋根は切妻で全体的には質素な造形である。しかし、朱塗りの亀腹により強い存在感を主張している。
私たちが竜宮と聞いて想像する色彩はやはり朱だろう。それを亀腹部分にほどここす発想はともすれば毒建築に陥りがちになるが、この門の場合はセンスがよいので許せる。
センスがよいと言えば、この寺の本堂もまた実にセンスのよい建築である。
宝形造で本瓦葺きの屋根は緩い勾配が美しい。軒は低く出も深い。高欄のない縁をめぐらしていて、縁の下には漆喰造の亀腹があり、全体にとても古式を感じさせる。正面3間がガラスの入った格子戸なので、大した文化財にもなっていないのだろうが、遠目には県文か国重文かとさえ思わせるような姿の建物である。
境内にはほかに水盤舎、小堂×3、庫裏。
(2001年05月02日訪問)