清水寺を見たあと、花巻市内へ戻り花巻電鉄の跡の後半を見学して昼飯を食べる。ここ花巻市までは北上川の西岸を旅してきたが、ここから先は東岸を旅する。(いつかはこの逆、つまり花巻より北は東岸、南は西岸という旅をする日がくるだろうか・・・)
その花巻市の街のすぐそばを北上川がゆったりと流れている。JR花巻駅からちょうど真東にあたるあたりの川岸は、かつて宮沢賢治が花巻農学校の教師をしていたころ生徒達を連れて地質の勉強に訪れた場所である。賢治はこの川岸をイギリス海岸と名付けていたという。
川岸の泥炭層がイギリスの海岸の地質と似ているのだそうだ。
私の故郷は関東の海なし県だったので、川岸を海岸に見立てるという気分はわからないではない。高校生のころには、夕暮れどきに河岸段丘の上の城跡から川の土手の国道を走る車のライトを眺めながらよく海の景色を想像したものだ。そしてその国道を“海岸通り"などと呼んでいたのがなつかしく思い出される。
(2001年08月12日訪問)