2002年の初詣の目的地、香林寺。
香林寺はよみうりランドの南側の小さな尾根にある檀家寺だ。里山の斜面に諸堂が離れて配置され、山上には五重塔もある。それでいて京都や鎌倉の寺によくある「さぁ、この風情はどうだ!まいったか!」というような押し付けがましさもない。寺マニアにとっては気軽にに参詣できる癒し系の寺と言っていいと思う。
東京や横浜あたりからすぐ来れるし、初詣というのに駐車場の心配などみじんも必要ないところがうれしい。
参道は石段になっている。石段を登っていると、いかにも参詣しているという気持ちになるのも山の斜面にある寺のポイントだ。
参道のところどころには石仏などが配置されていて、参詣者を和ませてくれる。
山門は四脚門。
本堂は比較的新しい木造建築で、屋根は本瓦葺。
地元の人たちか檀家の人たちだろうか。それなりにお参りしている人がいた。
本堂の右側には数寄屋造りの客殿(写真2階の建物)。その右側には庫裏がある。
客殿の背後には山上の五重塔が見えている。
本堂の左側から裏山へ登る道がある。
道沿いには三十三観音のミニ霊場。
三十三観音を過ぎたあたりには鐘堂がある。
さらに少し進むと太子殿という六角堂がある。
五重塔への道は基本的には墓地の中なのだが、石仏や堂宇がまばらにあるので飽きずに歩ける。
ほどなく五重塔のある山上に到着する。
塔の前には向唐門の棟門があり、周囲は低い柵になっているが、棟門は開いていた。
普段は棟門は閉まっているかもしれないが、周囲の柵もこの程度なので、別に中に入れなくてもあまり不満は感じないだろう。
1987年の建立で、意匠はゆるい唐様。外装は木造で、内部を支える柱は鉄骨鉄筋コンクリートの混構造という野心的な設計。
屋根の軒の出も充分に深く、屋根のゆるやかな反り、各階の低減率、どれをとっても文句のない美しい塔だ。
山の尾根に建っているので、遠くからも見える。近くで見てヨシ、遠くで見てヨシの名塔だと思う。
三が日の特別拝観で五重塔の内部も見ることができた。内部には釈迦如来座像が置かれている。
四天柱にはコンクリの柱に直接に木材の梁が取り付けられているようだが大丈夫なのだろうか。木造塔では木材の乾燥と建築物の重さで柱が縮むため、コンクリートとの接続部分がゆがんでくるように思う。
五重塔の内部の床は「
もちろん敷き方は禅宗の作法通りの
五重塔の横の
この奥は裏口になっていて自由に出入りできる。五重塔などの堂塔がありながら、境内を開放的にしてあるというのもこの寺のいいところだ。
香林寺は住所こそ川崎になるが、東京多摩地区では私にとっては十指に入るお勧めの寺である。
(2002年01月02日訪問)