上箱田稚蚕共同飼育所。
米野宿からそのまま沼田街道を登っていくと、上箱田という集落がある。その一角にある稚蚕共同飼育所。
米野と同様、尾根に集落があり、谷は水田になっている。飼育所のあるあたりはかなりの斜度で、配蚕口のあたりは道路が軒に近い。出入りがしにくそうな飼育所だ。
今は倉庫として使われているという。内部は見えなかった。
この飼育所の特徴は、換気塔がたくさんついていることだ。高窓の数と同じだけ換気塔がついている。つまり、内部はムロの1区画につき換気塔1つという状態のはずだ。同じような規模の飼育所として金丸稚蚕飼育所があるが、換気塔の数はこれほど多くない。
また、添え壁が長いのも特徴だ。この添え壁は内部にも突き出していて、そのままムロの仕切りとなっている。つまりムロの仕切りが構造材として機能しているのだ。
このような飼育所は、転用するときにムロの仕切りを撤去することができない。撤去したら小屋組みを支えることができなくなり、建物が自立しないからだ。
したがって大型の工作機械が必要な工場や、大型のトラクターを収納する車庫などには転用できず、倉庫のような用途にしか使えないのだろう。
宿直室は南側。手前にあるのは更衣室か。
年代的には金丸の飼育所と近いのではないかという印象を持った。
写真は宿直室を反対側から見たところ。中央には地下の貯桑場の換気塔がある。
手前にある小さな小屋はトイレ。
トイレの内部。
窓のないボットン便所だった。
(2007年02月11日訪問)