富岡市小野エリアは、碓氷方面というより富岡・甘楽地方なのかもしれないが、順路上都合がよいのでこのあたりの飼育所を見ておく。
松山稚蚕共同飼育所は、土室育の飼育所に特有の連続した高窓があるのですぐにわかった。越屋根はないが、屋根は桟瓦葺きで改修された様子もないので、もともと越屋根はなかったのだろうと思う。
建物は木造。宿直室部分の外壁は下見板張りで、飼育室部分はモルタル塗り。
宿直室へは石段で上がるようになっていて、斜面には貯桑室への入口らしきものがある。
だが、高さは大人が出入りするには不十分なので、ここは外から桑の枝を投げ込む投入口のようなものだったのではないか。つまり、貯桑室の床はここよりもっと低くなっているのであろう。
「松山公会堂」という扁額がかかっていたが、内部は倉庫になっていた。
小屋組みは木造トラスであることが見て取れる。この様子では、室は取り外されてしまっていることだろう。
一周りしてみる。
南東側にはトイレや炊事場が外付けされている。ここは公会堂として使われたときに増築された場所かも知れない。
朽ち果てているスバル・REXがいい感じ。
北東側に配蚕口がある。配蚕口の両側にトイレがあるのがめずらしい。いまは物置のようになっている。
その物置のような空間に、繭かき機が朽ち果てていた。スバルとおそろいの緑なのがなんだかおかしい。
飼育所の裏は墓地になっている。このように集落にとって共有の場所に飼育所は建てられたのだ。
片隅に石灯籠のようなものがある。風化していてはっきりわからないが、おそらく六角地蔵塔だろう。
(2008年05月02日訪問)