ヤンゴンに戻っての日曜日。午前中に用事を済ませ、昼ごろから寺参りに出かけた。目的地は、ヤンゴン環状線・タンダーレィブター駅付近の寺院群だ。
実は、昨日バゴーの帰路でこのあたりにあるメーラムー寺院という寺に寄ったのだが、雨がひどくてまともに参詣できなかったので出直すことにしたのだ。メーラムー寺院は、ヤンゴン最強の珍寺であり、ヤンゴンに行ったら是非立寄りたい寺のひとつなのである。せっかくそこまでゆくのだから、近くの寺も見てしまおうという算段である。
最初に向かったのは、スエイドゥパゴダ。
幹線道路から寺への参道は2本あり、そのいずれにも4車線の車道をまたぐ巨大な山門がある。ここから寺まではまだ1kmくらいある。
寺の隣には、上座部仏教大学という大きな大学があるので、もしかするとこの門は大学の門なのかもしれない。さらに言うならば、スウェイドゥパゴダ自体が大学の附属施設の可能性もある。
寺の入口にはこれといって山門のようなものはない。このあたり一帯が大学のキャンパスの一部のような感じになっている。
ここでタクシーを降りる。
昨日はタクシーをチャーターして案内付きの観光だったが、きょうはガイドなしで気の向くままに観光するつもりなので、ここからは徒歩で行くことにした。
巨大な仏塔が見えてきた。
幾重にもなった八角形の基壇の上に、四角柱のインド風のパゴダが載った建物だ。
四角の基壇の上に四角柱の仏塔を載せた形式は、「アーナンダ造り」とでも言えばいいのか、ミャンマーでは普遍的な形式なのだが、ここは基壇が八角形。どちらかといえば新しい様式ではないかと思う。
どうやら内部に入れそうだ。
だが、その前におもしろいものを見かけたので寄進してみる。観光寺院には「DONATION CENTER」という表示のある受付がある。いわゆる寄進所である。
お寺というよりも、銀行の窓口のような雰囲気。1,000チャット(約80円)寄進することにした。
「はいココ。ココに名前を書くの」
領収書が発行されるのだ。お寺によってはカラー刷りになっていたりするので、持ち帰ってコレクションする人もいるかもしれない。日本でいうと御朱印集めのようなことが可能だ。
記帳すると、金箔を手渡される。まさに銀行の両替所さながらに。
金箔をもらったら、隣にある鳥の形のゴンドラにそれを納める。
「このロープを引いてクダサーイ」
案内人の指図にしたがって、ロープを引っ張ると・・・
鳥形のゴンドラは勢いよく飛んでいくのであった。
目標はパゴダの高層階。
最後は遠くてよく見えなかったが、どうも上には受取人がいるわけではなさそう。
もしかすると、金箔は鳥の中に入ったまま戻ってきて、また寄進所に戻されているのではないか。
それでも、これを引っ張ること自体が楽しいからいいのだけどね。
ちなみに、寄進する人がたくさんいると、このように数人でまとめてゴンドラを引っ張ることになる。
自分ひとりでやりたいのであれば、寄進所に他の人がいないタイミングを見計らって寄進しよう。
それではいよいよパゴダの内部へと進む。
パゴダの周りはタイル張りの広場になっている。雨水のせいで滑って歩きにくかったのだが、ひと回りしてみた。
パゴダの八方の入口にはライオンの像と、謎の動物。
なんだろう、これは。直感的にはバクなのだが。
内部は円柱が天井を支える、荘厳な空間。
沢山の鳥が住み着いていて、鳴声が反響してうるさい。
正面の遥拝所には広い絨毯がしいてある。ほとんどのミャンマー人はまずここで礼拝していた。
賽銭箱は透明になっている。
これだけみんな高額の紙幣をいれているんだから、あなたも寄付してね、という演出なのである。
しかも、賽銭箱ごとに、そのお金が何に使われるかが書かれている。
「エレクトリック・ライティング」という賽銭箱もあった。LEDの購入に使われるのだな。
このパゴダの中心核でもある聖歯。
もはや宗教建築というよりも、20世紀のSF映画に出てくる異星人の秘密基地の雰囲気である。
周囲には八曜日の遥拝所がある。
ここの仏像の金ぴか度は半端じゃない。
境内にはほかに円形の池。
僧房らしき建物がパゴダを取り囲むように7棟建っている。
パゴダを見終わって出口に戻ってきてみたら、サンダルが脱いで置いた場所から無くなっていた。
これまでミャンマーの寺でサンダルを盗られるという心配をしたことはなかったのだが、やっぱりヤンゴンは世知辛いのか?
そう思ってキョロキョロしていると、女の子が「こっち、こっち」と呼んでいる。どうやら、履物の預かり所があったのに気付かず、階段の手前に脱いでおいていったので、勝手に預かり所に入れられてしまったようだ。500チャットの寄進をして、サンダルを戻してもらった。
(2014年06月22日訪問)