メイギンシェイダ僧院

安居の入りのお祭りで食事をご馳走になった。

(ミャンマーカレン州パアン)

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この日は金曜日だがミャンマーでは「安居(あんご)の入り」の祝日にあたるため、仕事は休み。

「安居の入り」とは、僧たちが僧院にこもって集中的に修行をする期間「安居」の始まりの日のことである。ミャンマーではこの日、仏教徒たちはお寺に袈裟や盛りカゴなどを寄進する。

ちなみに「安居」の期間は日本のお寺にもある。だから「あんご」という日本語が存在するわけだ。

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「食事をご馳走するから朝むかえにいくからネ」

休日なのだが職場のおにいちゃんが迎えに来た。連れて行かれたのは、住宅街にある目立たない僧院。

建物は左写真の講堂、兼、僧房くらいしか見当たらない。

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境内の奥にもうひとつ小さなお堂があった。

僧院にこういうお堂をよく見るのだけど、何の用途なのかよくわからない。

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きょうは講堂の中で食事ができるらしい。もちろん無料である。

もっともミャンマーの僧院では安居の祝日にかぎらず、午前中に入っていくと食事をご馳走してもらえることが多い。田舎の僧院などは言葉が通じないが、座禅や拝礼などを強要されることもないので、難しく考えずに招待に応じればよい。

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室内に入ると、いくつかのテーブルが並んでいてすでに食事をしている人たちで満席だった。

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修行僧と思われる人も食事をしている。ミャンマーでは僧は早朝と昼前の2回しか食事をとらない。つまり、午後は食事ができないのである。これは修行僧に課せられる十戒のひとつ。

在家の信徒が毎日守るべき五戒(殺さない、盗まない、嘘をつかない、浮気をしない、酒におぼれない)に加えて、修行僧になると、着飾らない、音曲を楽しまない、豪華な寝所で寝ない、蓄財しない、午後は食事をしない、の5つを加えた十戒を守らなければならない。

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女性の姿も目立つ。

安居の入りでたくさんの信徒が僧院にくるので、食事の世話をするために集まっているのだろうか。

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部屋の隅に大きな戸棚があり、托鉢の鉢や毛布などがしまわれている。信徒が寄進したものだろう。

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上座のほうにはゴザがしいてあって、そちらで休憩している人たちもいる。

私たちも食事のテーブルが空くまで、ここでしばらく待つことにした。

職場のおにいちゃんは出家したこともあるので、食事を待っているあいだに五戒と十戒について説明してくれた。

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お坊さんが座る椅子の前にたくさんの奉納物がならんでいる。盛りカゴだけでなく、奥のほうにはヤシ油などの単品の食材も奉納されている。

実はこの日、私はお寺に連れて行かれるとは思っていなかったのだ。てっきり職場の誰かの家に招かれるものと思っていた。お寺に来るのだったら私も盛りカゴを買ってきたのに。そしてお坊さんにうやうやしく差し上げて、数珠で頭をなでてもらうヤツを経験してみたかった。

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ちなみに、安居の季節が近づくと、町のスーパーや仏具店などでこんな感じで寄進セットが販売される。

そして入安居の日のテレビは、全国の有名なお坊さんに盛りカゴを寄進している様子が延々と流されている。

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さて、しばらくして私たちのテーブルの準備ができた。

食事はミャンマー風のカレー(ヒン)が中心に品目が多い。ご飯の上に好きな具をとりわけて食べる。

ご飯は白ご飯ではなく、豆などが入った混ぜご飯だった。こういうご飯にヒンを載せて食べたのはこのときだけ。

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ミャンマーでの食器の使い方は、右手がスプーン、左手がフォーク。スプーンはフチの部分をナイフのように使う。骨付き肉などをこそぐのもスプーンである。

やや戸惑うのが汁椀。一人にひとつの椀がない場合が多く、一つの椀のレンゲを何人かで使ってスープを飲む。そのときは口を付けたレンゲを直接汁椀に戻さずに、ほんのわずかのスープをレンゲの中に残しておき、自分のご飯の上にかける。それでレンゲを洗ったことになるようだ。

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ご飯を食べおわってだいたい満腹になったところで、さらにパスタ風の料理が出てきた。

茹でてから時間を置いた麺に、魚出汁のスープ。それに薬味として生のスライスタマネギを散らしたりライムを搾る。

モヒンガーと似ているが、モヒンガーは米麺なのに対して、これは小麦の麺だった。これは美味しい

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ライムとタマネギは入れ放題。

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すでにご飯と麺で満腹なのだが、デザートも出された。

カステラとココナツ寒天、それに激甘のコーヒー。

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油で焼いたココナツ餅。

お祭りのときにお寺で振る舞われるし、ホテルの朝食バイキングでもよく見かけるお菓子だ。すあまが柔らかくなったような味。

お寺で食事をご馳走になったときは、感謝の気持ちをこめてお布施をすることにしている。ここでは500円寄進した。カレン州でちょっとした食事をすれば200円くらいかかる。ここでの料理の品数、お茶やお菓子なども含めれば外で同じ食事をしたときに必要な額だと思って現実的に決めた。それに原則無料のお接待であまり大きい額を寄付するのも変だろう。

ただし大きな額を出しても日本のように遠慮して受け取らないということもなく、逆に特別に感謝されるということもない。金額がいくらでも、当然のように事務的に受け取ってもらえる。また寄進しなかったからといって非難されることもない。

(2014年07月11日訪問)

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地球の歩き方編集室 (編集)

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