ポーショーヒンドゥ寺院の前の道をさらに進むと、サルウィン川の河畔に出る。
この河畔には、近くにあるセメント工場のための資材搬入搬出のための港がある。
関係者以外立入禁止なのでは、と思うような道を進んでいくと、砕石が山積みになった横に、質素な小屋があった。
ここは寺なのか? それとも砕石工場の作業場なのか?
よくよく見たら、砕石を運搬しているのは袈裟を着た修行僧っぽい人なので、ここは寺なのだろうな。
砕石は、川岸の岩山の上に建設中のパゴダのためのものらしい。
穴があった。
井戸を掘ろうとしたが水が出なかったぽい。
周囲の岩は石灰岩で、奇景を作っている。
が、特に何か伽藍に利用されているというわけでもなく、洗濯物を干す場所として使われていた。
山に登る階段があったのでとりあえず登ってみよう。
迷ったが、履物は階段の下で脱いでいく。
階段はきれいにできていて歩きやすい。
途中細いところもあるが、苦もなく登ることができる。
途中、電灯の敷設工事をしていた。
なんというか、適当なんだよなあ。
ミャンマーでは220Vの電線も樹の枝にひっかけただけとか、分線するところはペットボトルで雨除けにしてあるとか、感電しないのが不思議なくらいの仕事ぶりなのだ。
小山の途中にも僧房らしきものがあった。
たぶん風通しがいいので、ここで涼むのではないか。
小山の上まで登ったところにパゴダがある。
対になるタコンタイは太いのが特徴だ。
このあたりは地面がむき出しなので裸足で歩き回るのはたいへん。
山の上からサルウィン川を見ると、中洲の小山が見えた。
この島へ行く方法について、川岸のお店などで何度か質問しているのだが、いまだ謎である。だいぶ上流にあるパアン市のメインの河港で小舟をチャーターするしかないのではないか、などと言われている。
だがいずれ必ず行くつもりだ。
山頂からさらに先の高い頂きにも仏塔があるのが見えた。あの山頂への道はなさそう。
下山しようと思ったとき、なんとなく行けそうな踏み分け道に気付いた。
その踏み分け道を進んでみると、鍾乳洞への入口があった。
洞窟はさほど深くはなく、長さは15mほどか。
さっそく入ってみる。
洞窟を抜けた先には、降りる階段があった。下のほうには僧房の屋根が見えている。
山の裏側からも下山できたのか。でも登るとき履物を脱いできたから、こっちから降りると面倒そうだな。
いったん鍾乳洞を出て、戻りかけたのだが、やっぱり思い直して階段を降りてみた。
あれ?
なんか変だ・・・。
風景が違う。
僧房もこんなじゃなかったし・・・。
階段を降りた先は入り江だった。
私はどちらかというと方向感覚はいいほうなのだが、完全に方向を誤っていた。
もと来た方向へ戻っていると思った洞窟は、実は山の尾根を越えた反対側へ通じていたのだ。そして階段を降りた先の入り江は、鍾乳洞を通る以外に陸路がない場所なのだった。
階段を降りると、えらく凶暴な犬が吠えかかってきた。お寺の番犬らしいのだが、へたをすると足に噛みつきそうな勢い。めったに他所者が来ない場所なのだろう。
寺男が犬の吠え声を聞いて出てきて、追い払ってくれたが、犬ぎらいの人はちょっと先へは進めないだろうと思う。もしここへ行くのであれば、必ず寺男か修行僧を同伴したほうがいい。
この入り江には沢山の堂宇があった。
これはシンウーパゴ堂。四体あるがすべて右向き。
どことなくヒンドゥ教っぽい建物もある。
パゴダ。
寺男が「こっちも見なよ」といって入り江の奥のほうへ誘う。
入りへの端まで行ってみたが、特に面白そうなものもなかった。
私は小学生のころ、群馬県の仙人窟という場所で、洞窟を通り抜けないと行けない場所というのを経験して、それが強烈な印象となって以来特別な思いを持ち続けている。
これまでにも当サイトでは洞窟を通り抜けないと行けない場所というのをいくつか紹介してきたが、ここはその中でも最高レベルと言っていい。何しろお寺の本体が洞窟の先にあったのだから。
面倒くさがらず、階段を降りてみてよかった!
(2015年05月03日訪問)