日曜日、きょうは2回目のタトン方面探索。もっとも、前回がタトンより遠方の地域を見て回ったのに対して、今回はタトンより手前の地域がターゲットなので、厳密には「タトン方面」というより「タトンの方」と言うべきかもしれない。
きょうの最初の目的地はサルウィン川の中洲にある因縁のパゴダだ。以前から気になっており、今回のミャンマー訪問でなんとしても行っておきたいパゴダなのである。職場のスタッフに行き方を聞いてもわからず、川沿いのお店や、河港の船頭に尋ねても一向に情報が得られていない。
これがその中洲。
結局、行く方法がわからないまま今日になってしまった。うすうすわかったのは、あの島へ行く定期航路とか渡し舟はなさそうだということだ。
ということは、小舟をチャーターするしかないわけだが、一番チャーターしやすい場所といえば、島になるべく近い場所、セメント工場の積み出し港か、あるいは、ポーショータン寺院である。
まずセメント工場の積み出し港に行ってみたが船はなかった。
そういうわけで、私は半年ぶりにまたこのポーショータン寺院へとやってきた。
川岸の草をかき分けたところに小さな船着き場を発見。
モーター付きの小舟もある!
チャーターにもってこいの船だ。
すぐ近くに船頭の家らしきものがあったが、留守みたいだ。
しかたなく、ポーショータン寺院の僧房でお坊さんに声をかけてみた。島に行きたいから船をチャーターしたいと伝えると、船頭を呼びに行ってくれた。
「船頭はいま留守だが、15分くらいしたら帰ってくるからウチのお寺でもお参りしてなさい。」
ヤッター。これで島に渡れる。
よく見ると半年前には工事中だった岩山のパゴダが完成している。せっかくだから登っておこう。
岩山の上に登ってみた。頂上は1坪程度しか面積がなく、パゴダの写真は引きが足らず、写せなかった。
それにしても、カレン州の寺って半年くらいのスパンでどんどん建物が出来ていく。これまでに紹介したいくつかの寺は、いま見違えるほど立派になっているところがある。
しばらくここで景色を眺めていたら、お坊さんが呼びに来た。船頭が帰ってきたのだ。
二人の男が船を操る。
こっちの赤服はアシスタントか。船着き場といっても単なる砂浜なので、私達が乗り降りするときに揺れないように船を支えたり、砂地から押し出す役目だ。
こっちが船頭さん。
そういえば、料金をきかないまま乗っちゃったな。お坊さんが「この人を島まで連れて行きなさい」みたいに命令してたので、なんとなく聞きそびれた。
ミャンマーではこういうときの料金は先に交渉するのが基本だ。特に観光地では必ず先に交渉すること。ひどいところだと、交渉で値段を決めても、降りるときにもっとくれと言い出すときもある。そういうときは追加料金は払う必要はない。
でも2人も出てくれているし、彼らの納得する渡し賃を気持ちよく払おうと思う。
いよいよ島が近づいてくる。
船着き場は裏側にあるようで、島を回り込んでいく。
島の周りには何やら仕掛けがある。
エビや小魚を集めるものだろう。
日本でも四国でこんなのを見たことがある。
島の裏側に船着き場があった。
島にはイヌが何頭かいて、悪い感じに吠えている。
赤服がそれを追い払う。
ミャンマーには大量の野良犬がいるが、悪い感じに吠えかかられることはあまりない。(時々はある・・・イヌ嫌いの人はミャンマーの田舎観光は向かないと思う。)
だがポーショータン寺院の境内にも悪い感じに吠えかかる番犬がいたので、この寺の躾けがなってないような気がする。
後ろのほうに小さな灯台のようなパゴダが見える。
これも川の中にあり、船でしか行くことができない。
見た通りのものだと思うので、特に行ってみる必要はなさそう。
僧房。めずらしく看板に英語表記がある。
「AUNGMINGALAR DAMMATHUKHA
MONESTRY HTAMINSOAE MOUNTAN」
読めるような読めないような・・・スペルもおかしいし。ミャンマー語のローマ字記法はミャンマー語の発音に対応しているため、どうもよくわからない。
「アゥンミンガラー・ダマスカ僧院・タミンソー山」だろうか。
「タミンソー山」は日本語で「おにぎり山」というように訳せるらしい。妙にしっくりくる名前だが、ミャンマーの主食は長粒米で、おにぎりは作れないはず。本当はどんな食品のことを指すのだろうか。
「さ、こっちだ」
赤服が先達になって山を登ってくれる。
少し登ると視界が開けて、遠くにはAH1号線のサルウィン・パアン橋が見える。
小さな仏殿があった。
お堂の中にはは28体の仏像が祀られている。
「過去二十八仏堂」とでも言えばいいか。
ミャンマーの上座部仏教の考え方では、永劫の時間の中で釈迦以前にも仏陀になった修行者がいて、釈迦は28番目の仏陀だという。
日本の仏教では釈迦は7番目の仏陀といわれることが多い。ただし過去七仏は必ずしも日本固有の考え方ではなく、古代仏教にも存在するという。
山には小さなパゴダが至るところに建てられている。
船着き場がだいぶ下になったな。
小さな山だが、階段は急なので息が切れる。
岩山は石灰岩だろうか。
浸食でギザギザに切り立っている。
山頂が見えてきた。
赤服は途中まで一緒に来たが、私が写真を撮りながら登っているので、しびれを切らして降りていってしまった。
山頂に着いた。
ミャンマーダルマがお出迎え。
このダルマはラッキーアイテムであって(日本で言うと招き猫的なもの?)仏教とは関係ないといわれるが、現実には寺の境内でもよく見かける。これまでのところ私にとっては謎の存在である。
山頂には仏陀の立像があった。
途中の岩陰にあったシンティワリ仏。
ボーミンガウン。
金色の像はめずらしい。もっとも、この小山では仏陀もダルマもシンティワリも金色だったが。
帰りはポーショータン寺院の入り江のほうへ案内してくれた。(例の番犬はまた赤服が追い払ってくれた。)
そのあと初めの船着き場まで乗せて戻ってくれそうだったが、鍾乳洞を通って戻ることにしてここで彼らと別れた。
渡し賃は500円を渡した。サルウィン川の渡船が1人片道50円なので、200円が正価かとも思うが、2人が仕事をしてくれたしイヌも追い払ってくれたので感謝を込めて。
(2015年12月07日訪問)