ヤンゴン市民の憩いの場カンドージー湖の北岸、日本大使館などもある住宅街の一角にある寺。
その山門はあまりにも地味。
これはさすがにこの前を通っても、入ろうという気にはならないレベル。
山門の先の石段も「この先に面白いものがあるよ」というオーラがまったく感じられない。
いいなぁ。こういうあからさまに何もなさそうな寺に入るのって。もしかしたら一番幸せな時かもしれない。
石段を登ったところには、僧房があった。
パゴダエリアは扉がしまっていたのだが、通訳さんが修行僧に言って開けてもらう。
けっこうどこにでも入っていく私だが、一人だったらこの扉の前で引き返していたと思う。
中にあったのは、シュエダゴンパゴダタイプのこじんまりとしたパゴダだった。
なんでもこのお寺は、ミャンマーの製薬会社かなにかのテレビコマーシャルのロケ地として使われた場所なのだとか。
パゴダに覆いかぶさるように菩提樹が生えており、風光明媚な場所ではないのだが。
このパゴダは覆鉢のところに夜叉のようなレリーフが並んでいるのがめずらしい。
周囲には屋根付きの休憩所、兼、ムチャリンダ堂があった。
寺男とおぼしき人がのんびりとくつろいでいる。
パゴダの周りでは修行僧たちがサッカーをしていた。
たぶん、上座部仏教の戒律では、僧は音楽とかスポーツを楽しんではいけないことになってると思うんだが・・・。
この寺の山門の向かいは、アウンサンスーチー女史の生家、つまり、ボージョーアウンサン(アウンサン将軍)の屋敷である。
いまは、ボージョーアウンサンミュージアムという記念館になっているようだ。もちろん、もう夕方なので閉館している。
アウンサン将軍が暗殺されるまで住んだ邸宅で、アウンサンスーチー女史も幼少時代をこの邸宅ですごした。
スーチー女史には、アウンサンリンという兄がいたが、彼女が7歳のとき、一緒に庭で遊んでいて池に落ちて溺死してしまった。
寺から見えた池がその池なのだろう。
これで、ミャンマー第4回の訪問記はおしまいとなる。
明日の朝には成田にいるというその夕方に、本当になにもない寺でぼーっと過ごすという贅沢な最終日であった。
(2015年05月06日訪問)