田舎道を北へ、北へと走る。
途中、三差路で奇妙な柱を見つけた。
この三差路は、120度ずつに3つの道が交わっている場所で、その中央に柱が立っているのだ。
以前、トトンカラの標柱として紹介したものと同じ分類のものだ。つまり、集落の結界か、道切りのようなものではないかと思う。
このようなオシドリを戴いた柱は、一般的にはパゴダに併設される。これまでも当サイトでは、仏塔を紹介するときには併設のタコンタイ(石柱)として数多く紹介してきた。見慣れた形状のものなので、ぼんやりしていると見過ごしてしまいそうになる。
だがこれは仏塔に併設されるのとは異なる意味合いを持ったものだと思う。まず第1に、仏塔が存在せず柱が主体になっている。そして第2に、立地が交通に関係し、特に三差路に関係する。そして第3に、これは初めて確認された「木製の柱」である。
設置されている状況や素朴な構造が、ものすごく土俗的なオーラを発している。ミャンマーの田舎を巡っていても、ここまで土俗的な雰囲気の物件にはめったにお目にかかれない。
日本でも三差路には道祖神などが祭られたり、お盆送りやどんど焼きの場所になったりと霊的に特別な場所とされる。ミャンマーでも三差路には特別な意味が与えられているのだろうか。
上部の飾りは、柱の上から、蓮のつぼみ、円板状の天蓋のような飾り、オシドリ、正方形のおそらく波を表わすと思われる板から構成されている。
装飾はすべて木で出来ているようだ。
天蓋やオシドリには風鐸のようなものがたくさんついていた。
三差路の脇には
「茶堂」とは、道を行く人々のために作られた休憩所で、ミャンマーでは多くの場合、ナッ神の精霊を祀る辻堂のような形で建設される。
日本にも、中国四国地方に似たような堂が見られ、祭神は多くの場合、弘法大師である。
独立基礎で建てられた覆屋で、床は一部分にしかない。
ナッ神の祠も、床のない部分に独立して建っている。
茶堂としてはめずらしい構造だと思う。
祠の近影。
祠の奥の面に書割りがあり、大河か湖のような風景が描かれている。
(2015年11月22日訪問)