ノンライ山パゴダ

奇岩の山頂にあるパゴダ。周囲は360度の展望。

(ミャンマーカレン州パアン)

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いくつかの小さな村を抜けると、水田や湿地の広がる平原に出た。高い樹もなく見渡しがきく。

「ん? あれはなんだ・・・?」

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うわぁ・・・あんなところにパゴダが・・・。

これ、見ちゃったからには登らないとダメなパターンじゃん。

事前に航空写真を見てきたが、ノーマークだった場所だ。航空写真では立体感がわからず、これも無数にあるパゴダのひとつにしか見えなかったため、見落としていた。

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パゴダへの参道と思われる細い道へ踏み入る。

寺の看板っぽいものがあるが、日焼けしていてよく読めない。ミャインジーグー文字っぽいものが書かれている。ミャインジーグー文字は、この場所から40kmくらい北にあるミャインジーグー町で僧侶が考案したものだ。カレン語を表記するための文字である。

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さっきの看板がなければとてもこの先に寺があるとは思えないようなあぜ道が続く。

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潅木が繁る林の中へ入ると道はいよいよ荒れてきて、オートバイはタイヤを取られてまともに走れない状態になってきた。

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何度か、もうこれ以上は無理かというようなガレた斜路を上り詰めたところに僧院があった。

お坊さんがいたので名前を訊ねてみたら、「ノンライ山」あるいは「ノゥンライン山」の僧院というらしい。

上がってお茶を飲んでいきなさいと誘われたが、たぶん熱々のお湯にインスタントコーヒーをいれたものが出てきそうだったので遠慮しておく。乾季で過ごしやすいとはいえ、日本の夏と大して変わらない気候なのだ。

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僧房の玄関の妻部分にまたもミャインジーグー文字があった。

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僧房の建物が続いている。

この先のほうにパゴダが見えたのでまずそこへ行ってみよう。

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パゴダに到着。

まあ、見た通りのパゴダだ。

道はこの場所で行き止まりになっていて、どこへも通じていない。

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山の上にパゴダが見えている。

場所は間違いないのだ。

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さっきのところまで戻ってお坊さんに訊いてみると、僧房の裏側から山に登れるという。

登山口は石段になっていて、すぐにわかった。

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山を構成する岩は直方体に劈開する堆積岩。以前、パアン市内のジェーダタンチー僧院でも同じような岩を見かけた。

サルウィン川の左岸に点在する地質なのだろう。

自然石だが、まるで人が石垣を積んで作った神殿のような雰囲気だ。

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神秘的な岩山であり、ミャンマー人としてはパゴダを建てずにはいられないのだろう。

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道は細い割れ目を抜けていく。

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山頂への登山道はほぼ一本道なので迷うことはない。

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山頂部が見えてきた。

標高はせいぜい70~80m程度、10分ほどで登れる。

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あまり高くない山だが、気温が高い中での山登りなので汗だくになる。

日陰でしばし休憩。持ってきたミネラルウォーターはここで空っぽになってしまった。次の村でまた仕入れなければ。

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山頂には2つの仏塔がある。

白い仏塔と金色の仏塔。

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白い仏塔の周りは、バルコニーのようになっていて南側の景色を楽しむことができる。

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南西のほうを見ると、サルウィン川の対岸の山が見える。名前はわからないがいずれ行ってみたい場所だ。

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金色の仏塔は、白い仏塔よりもちょっと高い場所にある。

登ってみよう。

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金色の仏塔の基壇からは、360度の眺望が開ける。

大して高い山ではないが、何もないミャンマーの田舎の景色がどこまでも広がっているのを眺めるのは壮観だ。

いつまで見ていても飽きない。

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北のほうを見ると・・・

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・・・またまた、看過できないようなパゴダが見えた。

今日はあっちのほうへは行くつもりがないので、今後の課題だ。

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ノンライ山は双子の山で、もう一方の頂には仏塔らしきものは見えない。

くちばしのようなオーバーハングの崖があるのが特徴的。

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北東の方を眺めると、ラッカミ山脈が見える。

それほど高い山脈ではないが、切り立っているため標高以上の迫力があり壮観な眺めだ。

山脈の麓にあるタマテイディバター僧院は以前に行ったことがある。ゴールデンロックのイミテーションがある僧院だ。

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ここからも金色に輝く、ミニ・ゴールデンロックが確認できる。

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山の上から僧院の境内を一望したところ。

僧院自体は地味で、観光客が来るような寺ではないのだが、登山道が整備されていて登りやすい山だった。

(2015年11月22日訪問)

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ムック – 2022/7/26
島田 裕巳 (監修)
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