迷路寺

寺の中心伽藍が迷路!

(ミャンマーカレン州パアン)

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次に向かう寺は、カレン仏教カルトのひとつレーケーの末寺ではないかと疑っている寺だ。

GoogleMapsの航空写真を見ると、レーケーの特徴である白いピラミッド形のパゴダらしきものが見える。

寺の伽藍は森の中に埋もれるようにあり、近くまで行かないと寺があることはわからないだろう。

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寺の入口に到着。

床のない講堂のような建物があった。

似た建物はこれまで2~3回見たが、講堂とは言えないように感じる。

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その横に山門があり、ここから寺の境内へと入っていく。

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森の中を進んでいくと僧房があった。

このとなりに、ピラミッド形の建築物があるはずなのだが・・・

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・・・なんだ? 迷路??

寺の中心伽藍が、、、迷路?

ちょっと、理解できなんですけど・・・

ミャンマーの寺にはときどき迷路があるのだが、この寺には仏殿とか仏塔といったものがなく、伽藍の中心が迷路なのだ。ミャンマーの寺を見慣れてきた私も、さすがにこれにはあきれる。

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あとで航空写真をよくよく拡大してみると、確かに迷路っぽい模様が見える。

でもまさか迷路とは思わないから、ピラミッドの階段状の線に見えてしまったのだ。これはレーケーではない。

思い込みって怖いな。今後はミャンマーの航空写真を見るときは、縞模様は迷路の可能性を想定しないといけない。

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カレン州では、コウカッタン洞窟寺にも迷路があるのだが、それよりも規模が大きい。

コウカッタン洞窟寺ではちゃんと迷路に入らなかったので、せっかくなのでここでは入ってみよう。

なにしろ、この寺では他に参詣すべき伽藍がないのだから。

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迷路は1.5mほどの塀で造られていて、隣接する通路を見通すことができる。

なので、簡単にクリアできるだろうと軽い気持ちで入ってみた。

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だが迷路は1辺が30mほどあり、1周歩けば120m。

それが幾重にもなっているので、すぐに100m、200mという距離を歩くことになる。

歩けども、歩けども、同じような通路が続く。

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ところどころに分岐点がある。

通路の先が見通せるのだから、間違ったルートに入ることはないだろうと高を括っていたのは大きな間違いだった。

分岐を入ったらすぐ行き止まりというような子供だましな分岐はひとつもない。分岐の選択が正しいかわかるのが迷路の対角線の先にあるため、先が見えていてもどの分岐に入ればいいかが判定できないのだ。

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ルート取りを誤ると100mくらい余計に歩くことになり、ダメージが大きい。

しかも怖いことに、同じ場所に戻ってくるような円環状の偽ルートがあるため、左右どちらかの壁を触ってやみくもに歩いていけばかならずゴールにつくという方法も使えないのだ。

ゴールの仏陀が見えるところまで来ても、まだ100m以上は歩かないとならない。

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やっと、ゴールに到着。

けっこう歩き疲れた。

早足で歩いて、入口からゴールまで15分もかかった。帰りもまた15分も歩かなければならないのだ。

もちろん帰りにもルート取りを間違う可能性がある。

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迷路のクリアにはおそらく2.5~3kmくらい距離歩くことになるのだろう。

軽い気持ちで入ってしまったが、迷路の中を歩いているうちに日が落ちて夕方になってきてしまい、かなり焦った。

寺における迷路は、悟りへの道は近そうに見えて遠い、ということを身体で学ぶための装置なのだな。よく出来ている。

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あとで、写真などをみながら通路を再現したのが左図。

行き止まりになっている場所がひとつもないことがわかる。簡単そうに見えて、かなり厄介だ。

そう思って、コウカッタン洞窟寺の写真を見直してみると、やはり同じようなパターンで造られていることに気付いた。ミャンマー仏教の定番の迷路デザインなのかもしれない。

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迷路の横に、タコンタイが。

これ、迷路のように見えるが、実は平面的なパゴダなのだな。

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境内には他に、小さな四面仏堂。

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聖人紹介所。

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中のお坊さんは誰だかわからない。

ついでにいうと、この寺の名前は判明しなかった。寺の随所に扁額っぽいものがあり、写真に収めてあとで通訳さんに見てもらったのだが、すべて「寄進してください」「××が寄進しました」というようなことが書かれていて、寺の名前ではなかった。

しかたがないので「迷路寺」としておく。

(2015年12月07日訪問)

土葬の村 (講談社現代新書 2606)

新書 – 2021/2/17
高橋 繁行 (著)
筆者は「土葬・野辺送り」の聞き取り調査を30年にわたって続け、平成、令和になっても、ある地域に集中して残っていることを突き止めた。
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