チャーインパゴダに登ったあと、まだ半日時間があったので、パアン市郊外のコウカッタン洞窟寺へ行ってみることにした。
ホテルのフロントで三輪タクシーを呼んだら、運よく英語が少ししゃべれるお兄ちゃんの運転手が来た。こっちも英語ほとんどダメなのを棚に上げて言うが、まったく英語が通じない運転手と半日観光するのはきつい。
目的地を告げたらすぐにわかってくれて AH1号線を南東に向かった。
20分くらい走ると、山頂にパゴダが見えてきた。あそこが目的地なのか。
国道に面したところに逆さ懸魚型の総門があった。
質素な山門なので、本当にここが観光寺院なのか不安になってくる。
200mほど未舗装の道を進むと、寺の本坊っぽい建物があった。
門の逆さ懸魚の形が、国道沿いの門と同じだ。
その向かい側にはライオンと、切妻の八脚門。
この八脚門は、奥側の左右に床があって、中で雨宿りや小商いくらいできそうな造りになっている。
同じような形式の門を国道沿いなどでときどき見かけたのだが、それらは寺の門ではなく集落への入口の門のように思われた。そしてこの後ろの空間は、国道を通るバスやトラックなどに乗るときの荷物置き場兼バス待合所ではないかと想像している。
八脚門を過ぎるとすぐ右側に迷路がある。
「迷路ってなに? 仏教用語ですか?」などと思ってはいけない。いわゆる遊具としての迷路である。
ミャンマーでは娯楽といえば寺参りが主流であり、遊園地などはないわけだが、その代わり寺の中で遊べるようになっているのだ。
通路を隔てる塀はレンガで積まれていて、高さは1.5mくらいある。まあ乗り越えようと思えば乗り越えられる高さだ。迷路のゴールには仏陀が待っている。
以前にバガンで見たことがある迷路では、通路の途中にも仏像が置かれていたのだが、ここではゴールにしか仏像がないのがちょっとさびしい。
ちなみに、運転手のお兄ちゃんはこういうB級物件などには目もくれず通り過ぎようとするので、なんとか説明して止まってもらった。
迷路の横に派手な門がある。
その先には岩山に上る階段が続いていた。
来るときに山頂に見えたパゴダへの登山道だろうか。きょうは午前中に山登りをしたばかりなので、ここはパスする。
パステルカラーに彩られた、にぎやかな伽藍が見えてくる。
また逆さ懸魚型の山門があった。
他の参拝者はみな山門の下にサンダルを脱いで参詣していたので、私もそうする。
お兄ちゃんは「タクシーで待ってるね」と言って戻っていった。
山門を入って右側の壁の上にはナーガ(龍)の神像がある。よくあるとぐろを巻いた形ではなく、塀の上にでろ~んと伸び切っている大作だ。
左側に目をやれば、水色、ピンク、赤、黄色の色鮮やかな仏像たち。
ちょっと薄目をして見たら、遊園地の遊具を見ているように錯覚してくる。
日本では仏像というと、ひたすらおごそかなキモチになるように演出されているのが普通だ。
一方ミャンマーでは、ウキウキするような演出になっていることも多い。いろいろなポーズの仏陀たちも説教臭い感じはなく、楽しそうに見えてしまう。
さて、ここからがこの寺の本命、洞窟部分である。
洞窟の正面にはタイル敷きの場所があり、イスが並んでいた。ここはたぶん休憩所ではなくて、僧侶が説法をする場所ではないだろうか。
洞窟の入口には左右に神像がある。これは日本の仏教でいう天部の神々みたいなものらしい。あとで通訳さんに聞いたところ、帝釈天に相当するようなことを言われた。
洞窟の天井に行列托鉢像がある。
行列托鉢像のアップ。
後ろにいくほど像が小さく作られているため、本来の奥行き以上の遠近感がある。
こういう見せ方は日本の仏像にはないな。
洞窟の入口にあった売店。
仏龕は天井に貼り付けてもらえるようだ。
洞窟内の床には満遍なくタイルが貼られている。
小石が落ちていないので歩きやすいのだが、ところどころで天井から落た水のせいで濡れているのが気持ち悪い。
洞窟をさらに奥に進んでいく。
すると、祈祷所のような場所があった。
参拝者が祈祷するのではなく、この寺の僧侶がここに住んでいるようだった。
祈祷所の祭壇。
その向かいにある僧侶の寝所。お姫さまベッドかと思うような可憐さだ。
ミャンマーの高僧はみんなこんなベッドで寝ているのだろうか。
祈祷所の前を通り過ぎると洞窟は狭くなる。
最後のほうは、頭を下げないと歩けないほどの高さ。
この奥の小部屋が最深部の奥の院だ。
奥の院から入口方向をみたところ。
一般に、鍾乳洞の中は涼しいものなのだが、ここは、参拝客の人いきれとロウソクの火のせいで空気が悪い。長居はしたくないような場所だった。
閉所恐怖症の人には耐えられないであろう。
出口まで戻ってきた。
外に出てみると、参拝客がなにかゲームっぽいことをしている。
もしや、水をかけると動く仏像とかあるのか?
残念ながら、動く仏像ではなかった。
ちょっととぼけた顔つきの僧の像だった。鉢に水を入れようとして水をかけていたようだ。
これでコウカッタン洞窟寺の洞窟部分の紹介が終わり。
この寺の魅力は、これでまだ半分といったところである。→つづく
(2014年02月02日訪問)