レーケー僧院・再訪

カレンカルトの僧院を再訪。講堂や衆寮を見学した。

(ミャンマーカレン州パアン)

前回のパアン滞在のときに、はじめに訪れた寺がこのレーケー僧院だった。

レーケー(Leke) とは仏教系の新宗教で、独特の信仰を持つというようなことを後に知って、もう一度訪れたいと思っていたのだが、この日、機会があって訪れることができた。

今回は通訳さんも同行していたので、少し詳しく話を聞けるという期待も高まる。

レーケーのわかりやすい特徴は祭壇の形状である。正方形に並んだ8本の柱が(ぬき)で束ねられている。中心には1本の尖塔があって、その上部にはアンテナみたいな傘状の飾りが見られる。その起源は、ものの資料によれば19世紀の後半という。日本でいえば幕末ごろになるので、天理教や金光教といった新宗教と同じくらいの歴史をもつことになる。

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境内に入って最初にあるのが衆寮。

前回の紹介では「未完成の寺務所か庫裏」と書いたが、ここは信徒たちが暮している建物で、完成とは言わないまでも、普通に使われている建物であった。

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ミャンマーのお寺は教育機関も兼ねていることが多く、レーケー僧院でも家が遠い子どもやまずしい子どもが、ここに寝泊まりしながら勉強したり職業訓練を受けたりしているのだ。

衆寮というよりも、単に寮とか寄宿舎と呼ぶべきなのかもしれない。

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衆寮の内部はこんな感じ。

けっこう殺風景だ。デジカメでかなり増感されているが、実際は電灯もなく薄暗くて暮しにくそう。でもカレン州の田舎の子どもであればなんら問題は感じないだろう。田舎にはもっと粗末なところに住んでいる人がいくらもいる。

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雨が降っていたのだが、半裸でチンロンという蹴鞠をしている男たちがいた。

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このオールバックの男、実はこの寺のお坊さんだったのである。

ちょんまげみたいな髪形はタラゴゥといって、朝は額の近く、昼や頭頂部、午後は後ろで縛るらしい。

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すぐに着替えて歓待してくれた。ハチマキみたいなものと、ロンジーが正装らしい。このハチマキは女性も巻くのだが巻き方が違う。

通訳さんにお願いしていろいろ質問したのだが、レーケーの歴史など正確な数字はよくわからなかった。通訳の内容が難しすぎたのか、本当に歴史がわからないのか、どうにも消化不良。ここは本山のような寺で、末寺が4ヶ寺くらいあるとのことだった。

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レーケーにはいろいろな文化的な特徴があるようだが、これはそのひとつ。レーケー流の握手。

右腕を高く組み、左手は右の脇の下に入れるというのが流儀らしい。

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これはレーケーの握手の女性バージョン。

左手の二本の指を右の二の腕に当てるのが男性との違いか。

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前回は見られなかった講堂にも案内してもらえた。

パゴダに隣接している建物である。

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やはり内部は暗くて、安物のコンパクトデジカメでは光が足らない。

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講堂の奥には祭壇があり、その前に二人の老人が座っていた。

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天幕には謎の文字。

これはレーケー文字というものらしい。このお寺で学ぶ子どもは、ビルマ語のほかにこのレーケー文字も勉強する。

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老婆がいろいろと話をしてくれたのだが、通訳のスピードが追いつかず、やはり謎が多かった。

老婆によれば、カレン族は元々は西アジアから移って来た民族で、その途中で南のほうへ行ったのがカレン族になり、東へ行ったのが日本人になったのだという。だからカレン民族と日本人は兄弟なのだと。いつか、日本人がミャンマーに帰ってくるという伝説があるそうだ。

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講堂の奥にあった祭壇。

下部は須弥壇のようになっている。

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上部はパゴダの上部と同じで、8本の柱と、傘のような尖塔で出来ている。

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あらためて、パゴダのほうに行ってみた。

お坊さんに「登っていい?」とお願いしたが、お坊さん以外は登れないそうだ。

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下からよく見ると、柱にはいろいろな装飾が取り付けられている。

また尖塔の中心にはセフィロトの樹みたいな文字の曼茶羅が取り付けられている。

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尖塔の傘には葉っぱがぶら下がっていた。

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柱や貫をよくみると色々な動物がいる。

通訳さんによれば、これはミャンマー人からみても「変わってる」と感じるようだ。

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これはおそらく、穀物を入れる倉。

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壁には稲穂が取り付けてある。たぶん、鳥にささげるものではないかと思うのだが、詳細は不明。

ヤンゴンなどの町中でも見かけるので、これまで何人もの通訳さんに質問しているのだが、「あれは稲穂ダヨ」と言われるばかりで、こちらが知りたいことはなかなかわからないのだ。

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お墓があった。お坊さんなどのお墓であろうか。

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寺男の住居だろうか。

この僧院へは三度訪問している。レーケー文字に注目して書いた記事はこちら。

(2014年06月12日訪問)