タラナ町の河港

ジャイン川の河港町。小さな町だが活気がある。

(ミャンマーモン州モーラミャイン)

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タラナ町。ジャイン川の河港町だ。

前回、地図がなかったため町の入口まで来ていながら道を戻ってしまった。せっかくなので今回は町の中を少し散策していこう。

町の中心は河港とマーケットだ。ジャイン川の河畔だけではなくその支流に沿って河岸(かし)(荷揚げ場)が並んでいる。いまその支流にかかる橋の上から川面を眺めている。

初めて見るのに、どこか懐かしいような河港の風景。

私は以前、埼玉県の川越市という町に4年間住んだことがある。鉄道が開通する以前、川越と江戸は新河岸川の舟運によって結ばれていた。その新河岸川の舟運が盛んなりし頃の風景がきっとこんなだったのではないかと思うのだ。

それは江戸の深川あたりの整備された河岸というのとは違って、武蔵野の森の崖線や葦の繁茂する湿地の中を、うねうねと抜けていくような航路だったろうと思う。

そんな武蔵野の河岸にタイムスリップしたような河港だ。

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船着き場に降りてみよう。

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船着き場はゆるい傾斜の階段で、川が増水しても対応できる造りになっている。

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ひとつひとつの船着き場は小さく、ボートひとつが横付けするのがやっとという大きさだ。

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だが川に沿った家(河岸問屋か?)の裏に、小さな船着き場が点々と並んでいる。

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さっき渡った橋の先で子どもたちが水浴びをしている。

行ってみよう。

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声をかけたら、みな水から上がってしまった。

なんで? 怒られるとでも思ったのか?

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川の水は単に泥で濁っているだけでなく、生活排水もモロに流れ込んでいるはずで、かなり汚いと思われる。

日本人がこれをやったら、たちどころに結膜炎や下痢をわずらうことになるだろう。

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外国人に話しかけられて居心地が悪くなったのか、子どもたちは帰ってしまった。

私も一緒に川を離れ、商店で冷たいジュースを買って飲みながらぶらつくことにした。

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町のもっともにぎやかなあたり。

ここで街道はクランク状に曲がって、市場の横を抜けていく。

左に見える三階の建物はホテルかもしれない。きっと外国人は宿泊できないのだろうが。ミャンマーでは、外国人を宿泊させるためにはホテル側にライセンスが必要で、それを持っていないホテルに泊まろうとしても断られる。

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市場は長さ50mはあろうか、ひとつの巨大な建物の中に、小さなお店がたくさん入っている。

きょうは日曜日なので、残念ながらほとんどのお店は閉まっている。ミャンマーの市場は、土日は営業しない。

Knorrの看板がやたらに目立つ。いまミャンマーでブランド造りをしているのか、ミャンマーのどこに行ってもKnorrの鶏ガラ調味料の看板だらけだ。

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日用品を扱う店だけが、わずかに営業していた。

この路地を抜けて、市場の裏通りへ入ってみよう。

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裏通りのお店は、完璧に閉まっていた。

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裏通りをジャイン川のほうへ向かって歩いてみた。

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ジャイン川に出た。広々とした荷揚げ場がある。

ここにはやや大きな船も横付けできそうだ。

川幅は1kmくらいありそう。海が近いので流れはゆるやかだ。

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荷揚げ場の上がり端には電器店。

扇風機が人気なのか。

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川面には渡船と思われるものが行き交っていた。対岸はカレン州である。

ジャイン川の河口にはミャンマー第三の都市モーラミャインがあり、そこから上流の町への交通路でもある。その気になればおそらくカレン州のチョンドゥやラインブエあたりまで船で行けるはずだ。

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上流に目をやれば、きょうの目的地フンメ山が見える。

(2015年11月29日訪問)

ミャンマー動物紀行 旅日記編

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大西 信吾 (著)

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