天満屋デパートなどがある中心街。その一角に木造三階の旅館があった。
看板を見ると「西村旅館」とある。
残念ながらいまは営業していない。
壁面は、各階ごとの庇、お多福窓、戸袋、高欄でびっしりと埋め尽くされており、すごい情報量だ。
一階部分にある旅館の看板は、ガラスに裏側から塗装したもので、かつては中に電灯がともったのではないか。その時代の様子を見てみたかった。
ネットを検索してみると、この建物は1・2階は江戸期で、明治に3階部分を継ぎ足したというような情報があるが、外観からは江戸期の建物には見えない。
しかし古い建物であることは確かだ。全体的に明治の中期くらいではないかという気がする。
階高が低い。左隣りの平屋の肉店と比べてみるとわかる。
おそらく各階とも踏み天井ではないかと思われる。踏み天井とは天井板がそのまま床板となっている造り。つまり天井裏がないので階高が低めになるのだ。
こんな旅館に泊まってみたかった。
このアングルから見るとすごい迫力。
木造旅館は往々にしてこのようなパッチワーク的な外観に育つ。これがRC造では中々出せない味わいというものだろう。
客室はいまは何に使われているのだろうか。
普通の家族が生活するには、部屋が多すぎて大変だろうと思うが、外から見る限りではどの客室もきれいに保たれているようだ。
特に建物の奥側の棟はガラス窓もピカピカだ。この部分はガラス窓がお多福窓ではなく、欄間の処理なども建物の他の部分と違っている。年代が下る気がする。
建物の奥側のほうにはモルタルで作られている部分がある。浴場などの水周りがあるのだろう。
物干し台の付きかたが軍艦を思わせる。
(2003年04月29日訪問)