羅生門

崩落し地表に出た鍾乳洞が天然橋を形作る。

(岡山県新見市草間)

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羅生門。間歇冷泉があった谷の台地「草間台」の上にある崩落した鍾乳洞。

鍾乳洞のかなりの部分の天井が崩れ落ちた、出来かけのドリーネである。

部分的に天井が残っている個所があり、それが天然橋を形作っている。

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このエリアにはいくつかの天然橋があり、特定の天然橋が羅生門というわけではない。この景勝地全体の名前だ。

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最初の天然橋の近くに、支洞のような穴があった。冷たい空気が溜まって、もやっている。

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天然橋を真下から見上げたところ。

鍾乳洞の巨大なホールが崩れ落ち、空が見えるようになったのだ。きのう訪れた日咩坂鍾乳穴も天窓が開いている箇所が2箇所あったが、いずれ何万年か後にはこのような最後を迎えるのだろう。

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次の天然橋が見えてきた。

天然橋というより、短い貫通型の鍾乳洞といったほうが適切かもしれない。

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まるで人間が掘ったトンネルみたいだ。

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途中で分岐している。

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分岐しているほうの穴。

傾斜があるので、無理には登らないでおこう。

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完全な闇となる地底と違い、燦々と降りそそぐ陽光の下で、鍾乳洞を歩くという不思議な体験だ。

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一番奥には吸い込み穴があった。

羅生門が洞窟だったころの本洞の最深部なのであろう。

かなりの下り傾斜なので無理はせずここから見るだけ。

おそらくここらから地中に浸透した雨水が間歇冷泉から噴き出しているのだろう。

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道路まで戻ってから、近くの森の中にもドリーネっぽい場所が見えたので散策してみた。

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巨大な吸い込み穴が口をあけている。

特に柵などもない。

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落ちたら即死というほどではないが、ガレているので怪我のひとつやふたつは免れないだろう。

近くで見ても背筋が寒くなる。下へ下へと続く禍々(まがまが)しい穴だ。

美作のほうで鍾乳洞を「鬼の穴」と呼ぶのがわかる気がする。この先はあきらかに人間が生きていける場所ではない。

(2003年05月02日訪問)