きょうはまだ日暮れまでには時間があるのだが、撤収することにした。ドンタミ川が渡河できればタトン山脈東麓地方を攻めようと思っていたが、結局、川を越えることができず、かといって途中から別のエリアの探索に切り替えるには中途半端だ。たまには早く引上げる日があってもいいだろう。
帰路につき、パプン街道をパアン方向に戻る。
途中、街道に面して派手な山門があったことは往路でも気付いていた。
ものすごい派手な色彩だが、こうした卒塔婆を並べたような逆さ懸魚型の山門は、参詣用の寺ではなく僧院である場合が多い。
したがって、どうしても寄っておかなければいけないというタイプの寺ではないのだが、いま入らなければ今後この道を通っても寄らなくなってしまいそうだったので、入っておくことにした。
参道はパプン街道から直線的に伸びていて、その先には金色のパゴダが見えている。参道の長さは400mくらいだろうか。
背後に山もないことから、鍾乳洞などは見込めないし、ここから見える以上のものはなさそう。
それでもこうしたほこりっぽい道を行くのは、ちょっとした探検気分であり、得難い経験だ。
境内に到着。
やはり、地味な修行用の僧院だった。
修行用の僧院といえども、そのシンボルとして仏塔を有している場合がほとんどであり、日本人からみたらこの仏塔があるだけで、なんだか拝まなければいけないような気がして、素通りするのは惜しまれるのだ。
仏塔の基壇の四隅と四辺の合計八ヶ所には、八曜日の守り本尊が設置されている。
八曜日はミャンマーの寺参りでは必須の概念で、自分が生まれた日の曜日で決まる。
日曜から土曜までの7種類の神様が決まっていて、水曜日は午前と午後で違うため全部で8種類ある。ミャンマーへ行くときには、パスポートの次くらいに重要なものなので必ず調べていこう。
私は水曜日の21時ごろ生まれたので、水曜の午後=ハインスィン(牙のないゾウ)が守り本尊だ。パゴダに行ったら自分の守り本尊にお参りすればよい。
パゴダに付属するタコンタイ。
ほとんどのパゴダで、仏塔とこの石柱はペアで建てられている。
パゴダに接続しているこのお堂は、当サイトで「パゴダ拝殿」と名付けている遥拝所。
パゴダ拝殿の内部には仏陀が祀られている。
規模によって1体ではなく7体の仏陀が祀られていることも多い。
僧院の他の伽藍を見ていこう。
これは僧房。修行僧が寝起きする場所だ。なかなか快適そう。
二階が僧房で、一階は講堂ではないかと思われる。
これは僧侶の住居ではないかと思われる。
あるいは、旧僧房かもしれない。
仏殿ではないかと思われる。
ちょっと距離があるのでいちいち確かめないけれど。
こちらは得度堂と思われる。修行僧の得度式をするための専用の建物。
この僧院の本当の名前は「ビギンニノ・ジョア・ジョンダイ」で、「ビギンニノ村の学校」というような意味だ。「ビギンニノ」は「姉弟の王」というような意味だと聞いた。この場所からすぐ近くには「バーインニィ洞窟寺」という温泉付き観光寺院がある。もしかして同じ語を、私が聞き違えているのかもしれない。
せっかく近くまで来ているので、バーインニィ洞窟寺の温泉で足湯をしてゆこう。
(2016年12月25日訪問)